403 Forbidden

2004年06月28日(月) 匂い

日記に仕事帰りの話題が多いのは、
その日の最後の出来事が鮮明に残るからだろう。
今日も終電。いつもの地下鉄。

降りる駅の階段に近いように、いつも車両の最後尾のドアから乗る。
そこに、今日は一組の親子。

終電で帰るときはいつも見かける母娘。
多分夜の商売なのだろう、母も娘も夜に合わせて濃い目の化粧。
娘は肩口に大きな花のタトゥ。

降りる駅は一緒なので、駅についてからもつい目で追ってしまう。
甘い香水が匂う。少しクドイ。

---

終電だというのに、駅に人影は多い。
だが喧騒から離れていくうちに、人の気配は薄くなり、
夏独特の草木の香りの中を歩く。
自分が立てる衣擦れの音と、坂に抗うための呼吸が唯一のBGM。

今日は日記に何を書こうか、とか、
君の香水はどんな匂いだったかな、とか、
記憶を整理しながら歩く。

いつもの坂道を上がりきり、下り坂を左に折れる、その角の
電柱の影に猫を見つけた。

むこうもこちらを見ていた。

カバンの中にはデジカメがある。
写真撮ろうか、いや、フラッシュで猫が可哀想だ、と思い直して
足を家へ向けると、首輪の鈴がチリン、と鳴った。
一瞬だけ足を止めたが、気を取り直して歩き出した。
歩きながら、あの猫の目が何かに似てるな、と考える。
そして思い出した。

君の目に似ていたんだ。

安上がりな出会いにちょっとだけ嬉しくなって、
それを伝えようと、日記を書いている。

君の香水がどんな匂いか思い出せないけれど。
いままで嗅いだことの無い匂いだったな、と覚えてはいるけれど。


 < 過去  INDEX  未来 >


constitution [MAIL]

My追加