waning moon。

悲しいね。

そう彼女は言った。
公園のベンチに座るボクは
立ったままの彼女を見上げた。
右肩の向こうに下弦の月が鈍く光っていた。

悲しいよね。

彼女は繰り返した。
そう、悲しいよね。
ボクはそう返す事しかできなかった。

もう一緒に歩けないね。

そう言った彼女へ
ボクは返せる言葉が思い浮かばなかった。

寒い。

そう言いながら彼女はきびすを返した。
じゃあね。とは言わなかった。
彼女もボクも。
一度も振り向かずに彼女は公園を出て行った。
その背中を見送りながらボクは息を吐いた。
白い吐息が水銀灯の光に吸い込まれると
夜の色が濃くなった。

そして彼女は想い出になった。
下弦の月も。





↑ポチッと押すと続きが読める(姑息な)エンピツ投票ボタン




↓過去日記(別名「恥さらし」ともいう(笑))もついでにどーぞ♪
2005年01月18日(火) テンパってマス。
2004年01月18日(日) 今日も働きますた。
2003年01月18日(土) いつもの休日。
2006年01月18日(水)

幾瀬の星の煌めき / やまぴぃ

My追加