その男。

その男は疲れていた。
仕事に疲れ、恋に疲れた哀れな生き物。

宇宙の星の胎動に比べれば
とるに足らない小さなことのかもしれない。

都会の道のように
折れ、曲がり、別れて、合流する。
そしていつのまにかまた元の場所に戻る。

刹那を重ねれば時は永遠に続くかと錯覚するように
永遠の有限を彷徨う生き物。

重そうな灰色の雲が垂れ込め
いまにも泣き出しそうな空に似た
壊れそうなココロ。
脆く、儚く、滲みだす。

電車の窓から
薄暗闇をボーっと見ていると
街灯が飛び去り
遮断機が飛び去り
すれ違う電車が飛び去る。

我に返るとその窓には疲れた顔をした男が映っていた。

その男。



↓過去日記(別名「恥さらし」ともいう(笑))もついでにどーぞ♪
2003年01月20日(月)

幾瀬の星の煌めき / やまぴぃ

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