危険域。 Master:(c)夏目

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2006年05月27日(土) ■
散った姿は醜いと、それは人間の強欲









 最近、ロイスの調子が悪くて心配です。
 もうかれこれ6年弱くらいうちにいるので、それも仕方ないことなのはわかっているんだけども。



 本日おはなし会開催。
 色々と店長関連で苛苛しながらお仕事してましたが、まあ、おおむね何事もなく閉店までこぎつけました。

 後輩のオオミさんとのお約束
 「辞めるなら、夏目を先に、辞めさせて。抜け駆けはナシですよ」(字足らず)


 や、やめてぇ…!

 いやーなんかさ、もう、ここまで我慢して仕事している意味あるのかなあと思いはじめちゃってさ。
 勿論ね、お金を得るっていうのは楽なもんじゃないっていうのはわかっているんだけど、やっぱり個人個人適性って言うものがあるんじゃないかしらと、自らの役職について疑問を持ちはじめたわけですよ。というか、改めて持ち直したわけですよ。


 タナカ君がクビになってしまったので、夏目はあれだけ嫌がっていた学参も担当することになりました。
 まあ仕方ねえやなとは思ったんですが、学参っていまいちわからないんですよ。
 そもそも、参考書の多くには「高校生向け」とか「中学生向け」とか書いてないものが多々ある…。特に英語とかね。
 大学受験に、とか。高校受験に、とかなら書いてあるんだけど、「試験にぴったり!」的なことを書かれても、それは高校なのか中学なのか…と悩む。
 頭の中を中学校に置き忘れているくらいの夏目ですので、中身を見て判断しろって言われても難しいんですよね。特に英語。
 品出しするにしたってそれで時間取られるし、教科書対応の参考書は判型でかい上に高い位置に置いてあって、一冊一冊が薄い代わりに揃うととてつもなく重くて、中々棚に入れることが出来ない。
 こんなん身長高い男性陣がやりゃいいじゃねえか!と憎しみさえ覚えながら一生懸命、入れてましたよ。せめて足台ほしいよ。
 のろのろと言われればそうかもしれないけど、できる限り頭の中で棚の中身を組み立てながらやっていたわけですよ。
 そこに店長。

 「まだ終わってないの?これくらいの量、すぐ終わらせられるだろ」

 おはなし会があるのでさっさと終わらせたいのは夏目だって同じですが、如何せん、いくらフロア内を把握していると言っても品出しを迅速にこなせるほどではない。
 そもそも、棚が汚すぎる…!(気になるのでいちいち直しながら作業)
 店長が前の学参担当だったわけですが、これだけ汚い棚を放置しておきながらよくもまあ他の担当に「お前らのフロアは雑だ」とか「汚すぎる」とか言えたもんだなおいと思いましたよ…!

 「すいません、まだ棚の中身がよくわからないのですぐには終わらないです」

 っつったら、優越に満ちた顔してあの馬鹿。

 「“よくわからない”じゃないんだよ、“わかるようにする”んだよ。夏目さんさ、もう、下の子達いっぱい入ってきたんだからいつまでも“わからない”じゃ済まないだろ?」
 「それはわかってます、けど、はじめから何もかも知っているわけでもないじゃないですか。だから、“今はわからない”んです」

 売り言葉に買い言葉というか、喧嘩腰になりました。
 はじめから夏目は児童書を移りたくないって言っていたし、学参もやりたくないって言っていたし、自分に担当としての適性がないっていうのも言っていたし、今更いわれる筋合いじゃない。
 そもそも、言い方がいけすかない。
 わからないことをわからないと口にすることの何処がいけないのか!
 わからないことをわかった風に口にしているほうがよっぽど罪だ。
 だから素直に「わからないので」といったのであって、誰も「わかろうとしていないんです」なんて言っていないし、「わかる気がない」とも「理解する気がない」とも言ってない。
 ひとの台詞を勝手に悪く取って嫌味をぶつけてくるような人間が、ひとの上に立っているのは間違っている!
 ただでさえ学生としてぎりぎりのラインで仕事しているんだ、これ以上を求められてたまるか!

 「覚えればいい」
 「ええ、勿論、覚えます。だからこそ、今は早くは片付けられない」

 棚も汚いですしねと付け加えたのは勿論ですが。
 担当に必要なのは惰性で品出しをしていくわけではなくて、中身を、それこそ一冊一冊のタイトル、出版社、著者名に至るまで全てを把握していくことであって、早ければいいってもんじゃないです。
 早くやろうと思えば適当に突っ込んで早く終われますとも。


 やりたくない仕事をやりたかった仕事と同じ情熱でこなせと言われても、そこまで夏目は大人じゃないし、そして「社会人」でもない。
 やりたくないけど仕方なくやるっていうスタンスは苛苛するだろうけど、逃げ出すことも拒否することもできたのを店の状況を考えて引き受けたというところをくんでほしいと思うのはきっと我侭だろうな。
 学参やるくらいなら辞めますってゆったの、あのひと、都合のいい脳みそしているからきっと覚えてない。そして、結局やっているのに辞めてないのを見てほくそえんでる。
 夏目が辞めないのは、度胸がないとか勇気がないとか働き口がないからじゃなくて、辞めたところで夏目の持っていた担当が誰かに移行してそのひとがきつくなるのが嫌だからで、別に店長のためじゃない。
 ひとりでふたつの担当を持つのだって辛いのに、三つも四つも持てるわけがない。それは勿論、「惰性」で仕事をこなしていけばいいのなら、何個だってもてるわけだけど。
 でもその中でさえ、全てに情熱を注げって言われるんだから、人間、可能なことと不可能なことがあって、個人的な可否を判断するのは他者でなく自分なんだぞって思うわけですよ。
 店長が「できる」と思っても、言われた当人の精神が「できない」と言っているなら正しいのはどちらかなんて、考えるのも馬鹿らしい。

 結局失敗すれば「できると思ったのにな」とかなんとか言われて、勝手にがっかりされるんだろう。
 嫌というほど味わってきたさ。
 駆け引きは好きじゃない。勝てるゲームしかしない。
 スリルに甘美な思いなんてない、負けるのは大嫌い。
 だからこそ、何もせずに引くんじゃないか。

 所詮一生負け犬。

 それで十分さ。そうだろう?





 こんな凡人に、一体何を望んでいるっていうんだ。







 ではでは
 本日はこれにて失礼!


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