道化者の憂鬱...紫(ユカリ)

 

 

旅 - 2002年11月12日(火)

今回は、唐突に「最北端に行きたーい!」って言う私の希望で
北海道に行く事になった。

一緒に行く奴は、野郎でヒロだ。
ヒロとは、去年からの付き合いで、今年になって沖縄、宮古島、
高知と旅行してきた。
高知には、私の親友が住んでいて、親友にも紹介したりした事もあった。
私とヒロとの間柄は、何て説明したらいいのだろう?
その当時は、旅トモって感じだったのかな。
その後、名古屋の彼と付き合い出したりとかで、彼氏出来たから旅行は
出来ないよ〜。って言ったりして、暫くはメールするだけの関係だった
りもした。そんな感じで夏が過ぎて、なんとなく私の頭の中で名古屋の
彼との事で、ややノイローゼ気味の時に、電話を貰って飲みに行く様に
なって、遊ぶ様になった。きっとその頃から、名古屋の彼との関係は、
私の中では終わってしまっていたのだろうと思う。
だからって、ヒロは私と付き合おうとか、そんな男、別れてしまえとか
そういう事は一切言わない奴だった。
引きこもりがちな私を外に連れだしてくれたのも、奴だった。

名古屋の彼に、北海道に行く。って言った時には、もう私達の関係は
終わっていただろう。そして彼がいるまま一緒に旅行するのは嫌だった
から、旅行に行く前に別れた。
それで良かったんだと思う。

北海道の寒さは、半端じゃなくていかに東京がぬるい所なんだなぁ
って、再確認出来る様な所だった。
宗谷岬の風は冷たくて、耳元で本当にぴゅーって音が聞こえる。
風に当たっている所は痛くて、どんどん身体が冷たくなっていくのが
わかるのだけれど、それが本当に心地が良かった。
そして、外が寒い分だけ北海道の人達は、温かくて泣きそうになった。

夜は、地ビールから地酒で今回の旅で初めてヒロとよく話した。
ヒロは、わりと人見知りだし、顔がちょっと怖いのと、背もデカイの
とでかなり威圧感があったりもする。(苦笑)しかも口下手だったり
するが故で、無口なので、(本人はクールと言う表現が好きらしい)
何考えているかわからない人に見られるらしい。
私はあんまりそう感じなかったけれど、今回の旅ではお互い酔っぱらっ
て、どこまでも話した。
色んな事を言い合い、色んな事が解った。
彼の悲痛な過去も知った。
今まで誰にも言わなかった、言えなかった過去だった。
そんな事があったからなのか、彼の言葉には重みがあった。

旅行の途中、ケンカもした。
最終日に、富良野で追突事故にあって、病院に行ったりなんだかんだで
予定がほとんど流れてしまった。札幌に向かう途中では、高速で吹雪き
に見回れて、前がほとんど見えない状態で運転してもらった。
ススキノでお土産を買おうって話しで、到着したはいいけれど、あまり
の人の多さと、歓楽街だが故の欲望みなぎる感じが、私達はとても苦手
だった。私はイライラしてヒロに当たっていたし、態度もトゲトゲしか
った。カニだけ買ってススキノを後にした。お互いに車の中では無口だ
った。お互いが苛立っているのが、空気でわかる。八つ当たりは良くなか
ったなぁって思って謝った。悪い事をしたと解っているなら、格好悪いと
か、意地とかそんなのどうでもよくて、謝らなくちゃイケナイんだ。

「ごめんなさい。」

言ったと同時に涙が出た。泣いているって思われるのは嫌だったから、
窓の外を見ていた。
その後、仲直りをして相変わらずバカをやって、調子こいて途中で、
ラーメンなんか食べていたら、最終便の飛行機3分前に空港に着く
始末だった。走りながら飛行機に乗るのは、初体験だった。
手荷物検査なんかも走りながらで、かなり楽しかった。(苦笑)

私とヒロの旅は、いつでもいい加減でふらふらと何処かに行く。
毎回そうだったけれど、北海道は広すぎた。(笑)
そして、私達の関係も他人から見れば、非常にぬるい関係だったり
もする。付き合っているとかそういう認識は、お互いに希薄だ。
それでも、お互いが必要だと思う時は、何があってもすっとんで行く
のだろう。
そんな関係でも良いのかと思う。
私達は、他愛の無い話ししかしないけれど、お互いの微妙な空気感や
距離の取り方を非常に大事にしているんだろうと思う。
それは、アツコやねいさんやアライ君にしてもそうだろうから、私の
周りにいてくれる人達は、本当に大事にしたいと思っている。

旅はいいね。








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