えみんこには忘れられないオトコがいます。 忘れようとしても忘れることはできないのです。
その人がえみんこのもとを去ったときには、えみんこはこのままのたれ死ぬものだと思っていました。 結果として生きていますが、いったいどれだけの間、えみんこの世界は色を失っていたか思い出せないほどです。 色のない世界は、何にも感動しない世界です。何もえみんこの心を動かしません。心が壊死していたのです。
彼とえみんことは精神上の双子のようなものでした。出会ってからすぐに彼はえみんこと同じ血のにおいのする人間だとわかりました。 とても好きでしたが、彼は恋人を選んで去って行きました。
えみんこが、今度彼に会うときはえみんこが彼のことを忘れてしまった時です。すべてを忘れるまで会うことはできないでしょう。
えみんこを捨ててしまえた彼をうらんでもいるのかも知れません。
そんなえみんこに、一通のメールマガジンが。 そのメルマガでは「愛と愛情」の違いについて語っていました。 愛は切り捨てるきびしさをも持っているもので、愛情とは情の言葉もあるとおり、捨てきれない甘さをも含むもの。というような内容でした。
これを踏まえて解釈すると、彼はえみんこを切り捨てることによって、えみんこの自立とまともな男との旅立ちを願ったとでもいうのでしょうか。
それはおかしい。
「自分では幸せにできないから、他人に託す」 それは詭弁です。
えみんこが欲しいのなら、わがままに全てをむさぼって死んだらぼろぞうきんのように亡骸を捨てる。ぐらいのほうが好みです。
ええ。つまりえみんこのこと、どうでもよくなって捨てたのかも知れませんね。その方がいいです。忘れるまでの時間が短くなりますもの。
今更あれがアイだったなんて気づいても、しょうがないのです。忘れるまでの時間が長くなってしまいますもの。
彼に会いたいのです。
全てを忘れたいのです。 全てを思い出すために。 |
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