川崎連絡会議日報

2007年05月20日(日) 映画「パッチギ」を観る

皆さん、ご無沙汰しています。お変わりありませんか。

昨日、妻と映画「パッチギ」を観てきました。
映画そのものに感心をしたのでみなさんにお知らせします。

特攻隊を賛美する映画(石原慎太郎)が作られ、北朝鮮バッシングが当たり前になっているこの日本社会で、このような映画を作ったシネカノンの李鳳宇と監督の筒井の勇気と映画専門家としての心意気、力量に感心しました。

韓国の「チング」なみのアクションがあり、吉本の役者を使ったコミカルなタッチで、在日をめぐる日本社会の動向が1970年代という設定で描かれています。女優として生きたいと願う在日をめぐって、本名では生きていけない状況と、多くの同胞がそれでも数多く芸能界で生きているという実態が描かれています。生き抜いていくという強い意志が、在日を中心に描かれていますが、病気にかかった子供、地方からでてきた日本人青年と複雑な家庭環境もあり、確かなメッセージを発進するのに成功しています。

特に戦前の済州島での強制連行の場面、南太平洋の島での爆撃のシーン(現地人に日本語を押し付ける場面、日本人兵隊だけでなく現地の人が殺されていく場面を含めて)など戦争の悲惨さも伝え、最後に出自を隠すことを強要されてきた在日女優が映画完成の挨拶に立ち感動的なスピーチをします(観てのお楽しみ!)。

Peace and Loveがコミカルに、かつ暖かく、また日本の右翼的な動向を徹底的に叩いています。
このような映画を製作したシネカノンの李鳳宇と筒井監督を讃えます。
みなさんも是非、ご覧下さい。

私たちの「外国人への差別を許すな・川崎連絡会議」は結成10年を迎え、この7月に「共生」を批判的にとらえるシンポジュームを計画しています。日本政府、地方自治体、大企業、組合、市民運動がこぞって「共生」を謳うという事態をどのようにとらえるべきか、私たちはようやく「共生」が国民国家再編成=(植民地をもたない)植民地主義、のイデオロギーであると見えてきました。

この間私自身は日立闘争、地域活動、川崎市批判(「共生」批判)と40年にわたり運動をしていきましたが、自分たちのやっていることは何なのかを自分たちの言葉で語ることに全力を尽くしてきました。しかしここに来て、現実社会をどのように見てどのように変革すべきかを模索する学問との「幸せな出会い」を期待しています。欧米中心の学問が、在日の状況と照らし合わせてそれを説明する「武器」になりうるという予感を今、私は持ち始めています。

ということで、改めてシンポジュームの件はお知らせします。

みなさん、お元気で。

崔 勝久


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