こうして、あなたの声を近くで聞く。息づかいや声音から伝わる想いは、温かくあたしを包む。決してその表情は窺い知ることはできないけれど。ふと思った。ぴったりと抱きあって、耳元でささやく、その時と似ていると。お互いの表情を窺う余裕もなく、ただひたすら温もりを求めて、その耳元でささやかれる愛の言葉。ただひとつだけ違うのは。決して温もりに触れることはない、と言うこと。その髪に、その手に、その唇に、直接触れることは、できない。