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| 2006年03月30日(木) 私の六法。 |
| 彼女はネットをあまり利用しない。全く利用しないというわけではなく、たまに「パソコン借りるねー」と、一人で黙々と調べ物をしている。 そんな休日。30分ほどネットをしていた彼女はごそごそと収納を漁り始める。何を探しているのか問うと、「私の六法全書知らない?」と言う。彼女は法律とは無関係ではない仕事をしているので、こんな桜咲き誇る晴れた休日も仕事のことを考えているのだ。法律とはあまり関係のない仕事をしている僕は、こんな晴れた日にベランダで洗濯物を干している。 「ねぇ、私の六法全書知らない?」 洗濯物を干し終えた後も彼女は収納を漁りながら六法全書を探していた。彼女はネットをあまり利用しない。旅行の計画を立てる時もネットで探すことなく、旅行店にパンフレットを取りに行くタイプなのだ。 「何調べてんの?」 「六法がないとわかんないのよ」 「試しにネットで検索してみればいいじゃん」 「うーん……」 晴れた休日。僕は部屋の掃除を始める。彼女はパソコンに向かっている。一体彼女は何を検索しているのだろう。そっと後ろからパソコンの画面を覗く。 「私の六法知りませんか」 グーグルに我が家の六法のありかを訊ねていたのだ! そんなものわかるわけないじゃないか。ネットにあまり親しんでいないとはいえ、これは本気なのか? ギャグなのか? 「試しにネットで検索してみれば」と、僕が言ったのはもちろんそういうことではなく、本気にしては怖くなるほど天然である。それがギャグだったとしても、グーグルに「私の六法知りませんか」と書いた時点で僕を呼ぶなり、画面に注目するよう何かしらのアクションを起こすはずである。 しかし彼女はただ静かに「私の六法知りませんか」と書いて、知るわけがない検索結果を眺めていたのである。僕は部屋の掃除をしていた。気付かないかもしれなかった。彼女は一人でグーグルと会話していた。たまらなく愛しかった。 |
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