2005年07月19日(火)  30時間の出来事。
 
で、今日東京に帰ってきたわけだけど。って、昨日帰郷したばっかりでしょ? 何で1泊だけなの? と驚くかもしれないが、そんなこと今の僕には知らん。ただチケットを取った段階での僕が、「1泊でいいや」という心境にあったからで、現在の僕は3泊くらいしたかったなって確かに思うけど、過去の僕も現在の僕も僕は僕。言ってることがわからんけど、昔の僕を責めるということは今の僕を責めるということになり、人を愛する前に自分を愛さなければいけないという人類普遍の原則にのっとり、僕は怒らない。そして後悔しない。僕は僕だから。今の僕があるのも刹那の僕の凝集であるのだから。
 
とにかく僕は今日帰ってきた。1泊して帰ってきた。そして、故郷の滞在時間が僅か三十数時間だったが、その三十数時間の半数以上を妹の子供、いわゆる甥と過ごした。
 
1歳半のヨチヨチ歩きの甥を公園に連れてってひたすら走って転んで泣かせて泣かされて。ゲームセンターに連れてって100円で数分動くアンパンマンの形をした奇妙な車に揺られながら一緒にアンパンマンマーチを歌ってというのは僕の錯覚で、甥は1歳半だからアンパンマンマーチなんて歌えるわけがないし、愛と勇気だけが友達なんていう、どこか厭世的な意味を感じさせるフレーズの意味など理解できるはずもなく、車に揺られながら何が君の幸せ? と自問自答しているのはもうすぐ二九歳の誕生日を迎える僕だけであった。
 
肩車をして近所のスーパーに買い物に言った。甥の好物の、って、好物か何かは親が決める主観的なもので本当に好物なのかは知らんが、グリコのリンゴジュースを購入して、このリンゴジュース、4つパックで売っているのであり、近所のスーパーの近所の公園のベンチでそのリンゴジュースを1パック甥に渡し、どれどんな味がするのか、ってリンゴの味がするに決まっているが、ちょっと飲んでみようかしらと、僕も1パック手に取ってストローを刺したら甥が突然大声で泣き出した。
 
なななんぞ!? と、狼狽してすかさずオムツの中身を確認したが失禁はしておらず、なのに何で甥はいきなりこんな壊れたように泣き出すのか。おかしな奴だ。と、予測不可能な動物を見るような目を向けながらリンゴジュースを飲んでいるってそれがいけなかったみたい。
 
家に帰って甥の母である妹に聞いて始めてわかったのだが、甥にとってみれば、リンゴジュース=オレのものという価値観があるらしく、妹夫婦もその原理に従ってリンゴジュースを購入すると4パック全てを我が子に提供していたのであり、そんな確立された価値観があることなぞ知らん僕は、自身の口乾という一時的な生理現象によって、甥の価値観を崩壊させてしまった。
 
すまなかったすまなかった許しておくれ。と、棒読みでとっくに泣き止んで僕の携帯を口に入れて離さない非衛生的な甥の頭を撫でながら謝罪し、お風呂に入れてくれる? と、妹の要望を快く承諾。甥と一緒に風呂に入り、二人で黙って湯船に浸かっていると、急に甥の表情が変わり大人のような口調で「お前、今日のこと絶対許さないからな」なんて言われたらどうしようとビクビクしながら媚びるように頭を撫でて。
 

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