2005年06月22日(水)  理性の天使と留守番電話。
 
午後8時49分。留守番電話にメッセージ。
 
「お忙しいところ恐れ入ります。えー、事務局の田中と申します。携帯電話のご契約者様に確認事項がございますので、田中までご連絡頂けますでしょうか。電話番号は03−548……」
 
とまぁ、これは詐欺まがいの何らかの勧誘であることは明らかであり、もし提示された電話番号に電話すると、僕はたちまち個人情報を抜き取られ、欠陥リフォーム工事、やたらでかい壷、やたら薄っぺらい布団などを購入させられた挙句、馬鹿高い利息のついたローンを組まされ、払えないとなると東京湾に沈められるか、風俗で働かせられるかどちらかの選択を迫られ、じゃあ死にたくないっつんで風俗で働きたいんだけど、オレ男なんスよね。なんて怖い人に言うと、じゃあ風俗の客引きやってくれと、利息の為に無償の勤労を強いられた挙句、どんな仕事でも比較的適応能力の高い僕は、風俗の客引きも難なくこなし、お前なら安心して店を任せられるってんで、キャピキャピパラダイス池袋店の経営を任され、不況の風などなんのその。「今こそ勃ち上れサラリーマン!」をキャッチコピーに爆発的な売上を達成。風俗店発の六本木ヒルズ進出を果たし、「風俗界のホリエモン、ベッドの中では想定外」なんて各種マスコミ・スポーツ紙で騒がれ、左団扇の人生を送ることになったのは、あの日の午後8時49分にかかってきた怪しげな電話のお陰で、電話1本が僕の人生を変えたなんて夢みたいな話があるわけがない。
 
そもそもこの留守電のいかがわしいところは、まず「えー、事務局の田中と申します」という箇所。「えー、事務局」と言っているように見せかけて「au事務局」と言っているようにも聞こえるという絶妙な言葉の濁し方をしており、次に怪しい箇所は「携帯電話のご契約者様」というところで、よく出会い系のスパムメールなどに「アナタに決めました。早くアナタに会ってみたいです。アナタと趣味が会いそうなので」と、やたらアナタアナタと連呼するのは、自分の名前がわからないということと、同様の内容を不特定多数の人間に送信しているということで、「携帯電話のご契約者様」ではなく、「携帯電話のご契約者のヨシミ様」と僕の名前を呼べば信憑性も高まるものの、事務局の田中という女は僕の名前を知らないので、「契約者様」なんて便宜的な名称を駆使して悪いことばかりやっている。女であろうがこういう輩は地獄に落ちて、地獄に落ちてからも赤鬼とかに「お前なんて地獄に落ちろ!」なんてひどいことを言われればいいと思う。
 
と、そういうことを考えて、そういう文句を言ってやろうと非通知で田中が留守電に残した電話番号にかけてやろうと思ったが、ちょっと待てと声を掛けたのは、主に僕の右脳の方に住んでいる理性の天使で、「これは詐欺は詐欺だが、新手のワン切り詐欺かもしれない」と言うので、なななななるほど。おっかねーなー。きっとそれだよな。理性の天使の言う通りだよ。ワン切り詐欺だよ。アッブネー。っていうか本当はそうじゃなくて、本当に事務局が確認事項を伝えるだけの善意の電話だとしたら、仮に電話だとしたらだよ。もし善意の電話だとしたらだよ? すごくない? 新手のワン切り詐欺の手口思いついちゃった。なんてニヤニヤしている僕はきっと地獄に落ちると思うよ。
 

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