2005年04月16日(土)  キャリアマン。
 
総婦長室に呼ばれる度に、結婚の話が出てくるので厭になる。今日もお見合いの話を勧められた。って僕は何度も断っているのに、総婦長はどうにかして僕をこの病院に留まらせて骨を埋めさせようという魂胆で、二度と郷土の土を踏ませない様、東京の人間と結婚、永住、大地震に見舞われ死亡という青写真を描いているのだ。
 
「結婚は、まだ全然考えてません」
「あ、そうなの。でね、うちの事務の女の子なんだけどね」
 
と、全く僕の話を聞いていない。しかもうちの病院は事務員が何人もいるので、固有名詞を言われても誰のことだかさっぱり見当がつかないし、見当がつくつかない以前の問題に僕は彼女がいるのであって、見当がつくつかない以前の問題に僕は彼女がいるんですと度々総婦長に言っているんだけど、
 
「あ、そうなの。でね、あのコいいコなのよ。仕事も真面目だし」
 
と、おそらく総婦長は僕の声だけ聞き取らない特殊な聴力を持っていると推測される。しかし結婚しても仕事を辞める時は辞めるのであって、僕は別に辞めようとも思っていないし、むしろこの病院で頑張れるところまで頑張ってみようと思っているのであって、要するに僕は仕事と結婚するのであって、僕は一生キャリアマン。って何だこの言葉。女だったらキャリアウーマン。男だったらキャリアマンじゃないの? キャリアマン。弱そうだなぁ。窓際で佇んでいそうだなぁ。上司の一語一句に怯えていそうだなぁ。と、なるほど合点。その姿こそ真の僕の姿であって、僕はやっぱりキャリアマン。
 

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