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| 2005年03月17日(木) 規制緩和。 |
| 「君と付き合えるのなら、タバコだってやめてやる!」 なんて言ったか言わぬか。確かに宣言したと彼女は言うのだけど、僕はさっぱり覚えていない。さっぱりというのは嘘で、おぼろげながら覚えているというのも嘘で、実はしっかり覚えている。 だが時は経ち、今じゃ雑誌のカヴァー。もう付き合って1年。日本国憲法だって普遍のものではなく細かく再編されるもので、付き合い前の宣言も、やはり普遍ではなく、というのは、「ずっと君を幸せにするよ」なんつってプロポーズして1年後には離婚というのはよくある話で、まぁあの時は確かに「タバコやめる」なんて言ったけれど、あれはまぁなんつうの、恋のテンション? みたいな。恋してるときって阿呆みたいにテンションあがるでしょ。あのテンションで喋っちまったから、ほら、もう今すげぇ辛い。 完全な禁煙は無理だから、せめて私といる時だけでも禁煙して頂戴。好きよ愛してる。ずっと一緒にいてね。なんてあの時は彼女が天使に見えたけど、やっぱり彼女は悪魔だった。なんつうとちょっと悪い表現になっちまうから、やっぱり彼女は人間だった。まぁ元から人間なんだろうけど、要するに一年前は彼女と付き合えるってだけで嬉しくて、喫煙など微小な問題。禁煙して彼女が手に入るのなら、喜んで僕はマイルドセブンを捨てるという意気込み。しかし人間の欲望とは果てなきもの。彼女が手に入ると、やっぱり随意な時間にニコチンも手に入れたい。よってデートの時、せめて食後だけでいいから喫煙許可を出してくれないだろうか。 「うーん……。いいよ」 なんて、一言で書いてしまったが、「うーん……」と「いいよ」の間は、実に1週間にも及ぶ説得があったからで、その説得の間もご飯を御馳走したり、洋服をプレゼントしたり、ベッドの中でサービスしたりと、血もにじむような努力をしたのであって、この食後1本OKという規制緩和に辿りついた僕は、ようやく彼女とのランチの後、堂々とマイルドセブンを取り出すことに、失敗した。 「食後というのは食後10分までの間ですので、今はもう食後ではない。よって食後の喫煙は許可できない。断腸の思いで」 などと訳のわからぬ理屈を並べ、僕の手からマイルドセブンを取り上げてしまった。「なにすんだよー」と文句を言いながら口を尖らす僕に彼女はウィンク・アンド・投げキッス。まったくもって訳がわからないけど好きなんだからしょうがない。 |
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