2004年07月15日(木)  買える物は恋愛歪言。
 
とうとう僕の書いた本が商業ラインに乗ることになりました。発売です。本日発売です。うほー。これで夢の印税生活だー。青山の高級マンションに住んで、それからはべらかして、何かわかんないけどとにかくはべらかして、ウハウハな毎日を送ってやるという取らぬ狸の皮算用。親にさえ出版したといえない際どい内容。恋人に見せると軽蔑させられそうな文章。それでも誇りを持って、本日出版いたしました。
 
自分の本が届いてまず何をしたかというと、ページを開くわけでもなく誰かに自慢するわけでもなく、本棚に並べてそれを並べる。好きな作家の横に並べて、おぉ、町田康の横に僕の本がある。同じフィールド? ダメ? ダメか。と、本を取り出しようやくページを開く。今まで何十回も読んだ文章が紙の媒体になって僕の目の前にある。うほー。本になってるよ。さて、寝るか。
 
と、興奮するタイミングのようなものを微妙に逃してしまって、というか本が発売されているということをいまいち実感できない僕は恋人に電話。
 
「ねぇ、買った?」
「何を?」
「モロッコの市場で買った何か」
「200ディルハム?」
「嘘だよ。今日発売なんだよ」
「知ってるわよ。ちゃんと注文したよ。おめでとう」
「ありがとう。こんど出版祝いの食事に行こうね」
 
「うん。何食べたい?」
「チュニジアの港町で食べた何か」
「15ディナール!?」
「嘘だよ。うーん何食べよう。ていうかお酒飲みたいね」
 
「うん。私ももうすぐハタチだし。何飲む?」
「ポルトガルのレストランで飲んだ何か」
「3ユーロ!? もう意味わかんないことばっかり言わないでよ」
「ゴメンなさい」
「でも言葉の通じない彼に出逢った何かはプライスレスだわ」
「うまいこと言うね」
 
「というわけで」
「お金で買えない価値がある。買える物は恋愛歪言」
 
おあとがよろしいようで。
 

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