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| 2004年03月26日(金) 車椅子三連編隊。 |
| 看護というものは一種のサービス業であるから、患者さんはお客様という観点で仕事をしてみたら、意外と自分に足りないものが見えてくるのです。 今日は七十歳くらいの患者さん二人と車椅子で遊んでおりましたところ、婦長さんに叱られてしまいまして、というのも一人の車椅子の患者さんを押しながら、もう一人の患者さんは僕の白衣の後ろの部分を掴んで編隊を組んで廊下を走っていたのです。 「戦争の頃はゼロ戦でこうやって編隊を組んでたものだよ」 と嘘か誠か時を経て、今こうやって車椅子で編隊を組んでいるのは少し悲しいことだけど、看護とはサービス業でありまして、患者さんが嬉しければ僕も嬉しい。患者さんは神様です。なんて言うと、あの世やら天国やらの概念が噴出し、御幣を生じるけれど、患者さん第一主義の僕は、あらゆる看護業務を放棄して、こうやって患者さんと車椅子三連編隊を組んで廊下を滑走していたのであります。 然し、世知辛い世の中になってしまいました。新聞を開くと医療事故、筋弛緩剤、院内感染などの物騒な文字が目に入り、ありとあらゆる病院が其れに敏感に反応し、全くつまんない状況が生まれているのであります。病院内に安全性を求めると、必然的に患者さんの行動を縛ることになるのです。 と、婦長さん。廊下の端から大声で僕を呼ぶではありませんか。何度も呼ぶのでしょうがなく車椅子三連編隊を組んだまま婦長さんの元へ行くと、婦長さん一喝。僕は怒られてしまいました。 「そ、そんなに怒らなくてもいいじゃないか。私が一緒に遊ぼうって言ったわけだから、怒るなら私を怒ってくださいよ」 さすが患者さん。ナイスフォロー。いくらなんでも患者さんには怒れないもんね。心なしか車椅子の患者さん寄りに隠れる僕。 「あなたにも怒ってます」 婦長さんの一言でいとも簡単に車椅子三連編隊は撃墜されました。 |
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