a hermitage
もくじ|前の|次の
チビタの入院の保証人を頼むため、
仕事帰りに兄の家にお邪魔した。
ちょうど晩御飯の時間で、
兄夫婦・母・娘2人の5人で、ワイワイと食卓を囲んでいた。
夫を亡くして十数年、チビタと2人だけの食事、
この2年はチビタが寮に行き、1人で食事をしている私には
とても新鮮な光景だった。
ドラマみたいwww
っていうか、
どうしたの?何かイベント?
みたいな。
こういう体験をしていないチビタは、どう思うんだろう。
以前
「兄弟がいるって不思議、
家の中に他にも人がいるって意味がわからない」
と言ってたことがある。
今は寮生活、
大学生になっても、私は学生会館に入れるつもり。
チビタは自炊したがっているから、普通のアパートにするかもしれないけど、
それでも、最低6年間『独り暮らし』をする。
チビタ、大丈夫だろうか、
将来結婚した時、家族が増えた時、とまどわないだろうか。
鬱陶しい、なじめない、といった感覚にならないだろうか。
と言ったら、母が
「そんなことないでしょ、
寮にいたら、うちなんかよりもっと大勢で暮らしてるんだから大丈夫よ」
って。
母よ、
イマドキの学生の『寮』ってものを、思い違えていないか?
世話好きな母は、寮母さんにやたらと憧れていて、
チビタにも「寮母さんが優しそうで良かったねー」といっていたが。
もしかして、
ちょっと大きめの一軒家、
子どもも独立した小金持ち夫婦が、空き部屋を学生に間貸し、
寮母さん(奥さん)手作りの家庭の味の食事、
手が空いてる子が当番で手伝って、
普通の家のダイニング、
ごちゃごちゃと生活感あふれるふつーーーーの台所で
6時に「ご飯よー」と声がかかり全員集合、
「いただきまーーーーす!」とワイワイガヤガヤと食事・・・
寮母さんが
「たかしクン、グリンピースも食べなさい、
おかわり?ハイハイ、よそってあげますよ、
あらヒロシクン、そろそろ散髪しなさいよ!」
夜食にお握りが作られている。
こんなのを想像してるんじゃないだろうか。
実際のイマドキの学生寮は、こんなのじゃない。
完全個室、
食事は委託の業者が食堂厨房で作り
無言で配膳。
時間内に、それぞれ自分の都合の良い時間に食堂に行き、
無言でトレーに食事をとって空いてるテーブルに。
知り合いが居れば一緒に食べるけど、
あえて時間を合わせて行く様なことはしない。
友達がいないんでしょ?と思われるかもしれないけど、
友達がいっぱいの高校の時の寮でもこんな感じだった。
おかわりし放題、
自分で勝手におかわりをよそっていた。
今の寮、
「寮母さんが張り切っちゃってて、
“やってあげるわよー”っておかわりの時手を出してうざい、
それくらい自分でできるし、
なんか見はられてるようでめんどくさい」
と言っていた。
特に勤めに出たこともなく、
友達もなく、
テレビも朝の連ドラ程度、
もちろんネットもしない母、
夢見る夢子ちゃん的なところがあって、時々イラッとする。
兄に頼んだ入院支払い保証人の用紙と一緒に
『入院のしおり』も持っていたら
母が、興味津々に見ていたが
「部屋の写真がないじゃないー!
これじゃ差額ベッドがどれかわからないわー!」
「食事プランは載ってないの?
何を楽しみにすればいいのよ!」
母よ、
大学病院は『JTB』じゃない・・・
|