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am4:00
君は「せめて布団だけは、たたんでいきたい」と言った
俺は今までになく素早く、未だかつてなく奇麗に布団をたたんだ。
「大丈夫だ!。大丈夫だ!」
君の手をにぎり、荷物をしょって、ゆっくり外へ出た
「いよいよだ。いよいよだ。」
am4:30 病院についた
君はすかさず、検診室へ入っていった
俺はそのまま、待ち合い室で待機となった
「今のところ、冷静なオレ」
「オレって誰だ?」
30分が過ぎた。
静かな廊下。
君の苦しそうな声
びっこを引いた足音
響いて来た
「おいマジかよ!」
付き添いの先生が言った
「もう、分娩室へ行きましょう!」
痛さに耐えかね 床に膝をついた君を 抱きかかえ
車椅子に乗せた。
「大丈夫だ。大丈夫だ。大丈夫だよ!」
2時間が経った。
いったいどれくらい大声を出したことだろう。 一緒に呼吸をしたことだろう。
「頑張れ!頑張れ!頑張れ!」
分娩室の窓
気が付けば
朝日が昇っていた。
息子が
ニョキッと現れた。
「おい、マジかよ・・・」
pm3:00
オレ一人で
いつもの部屋に戻ってきた。
あの時のままの部屋。
ガランとしていた。
「ただいま」
あの時の二人の声が聞こえた。
「大丈夫だからな!」
「今、タクシー来るからな!」
「せめて布団だけは、たたんでいきたいよ」
もう、全然、同じ部屋に見えなかった
もう、全然、同じ部屋に見えなかった
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