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レインドッグ


俺のバイクの名は
「レインドッグ」

自分の気持ちが
そうだったからなのか、
あるいは
レインドッグにまたがったから
気持ちがそうなったのか

とにかく飛ばした
とにかく飛ばした
右手のアクセル
思いっきり握り
思いっきり睨み

そこに理由は無いって気持ちが
何より純度の濃い衝動である事を
レインドッッグの力を借りないと
認識出来ないのかって、
それほどまで
飛ばすって事に喜びと恐怖と快感を
もたらしてくれた。

そこに理由は無い。
カーブのラインに差し掛かったら
ハンドル握る両手を感じ
体に任せ
重力を感じ
白いセンターライン。
ガードレール。
友達の顔。恋人の顔。親の顔。

僕が今より少しでも前に進むには
今の僕を唄う他、方法は無い。

どんなにレインドッグを飛ばしても
何処にも行けやしない。





2003年05月05日(月)

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