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初めての力



出来たてホヤホヤの曲。厳密に言えば、出来た!と思った瞬間。
生まれたて。

だが、残念ながら、生まれた喜び、音楽の神様の恩恵を授かっても、
まだ個としては成り立っていない所が落とし穴。

出来たばかりの曲、もう一度唄う。録音する。聞く。

出来た瞬間の広大な気持ちを再び味わう事が出来ない。そして迷う。練る。
ますます遠ざかって行く。結局一番始めのバージョンが良かったりする。

自分で「ok」を下す。

初めて曲が個性を持ちはじめる。

そして、初めてLIVEで唄う。

初めての力。

何回もLIVEで唄う。

お客さんの中で、その唄を初めて聞く人が
一人でも居れば、その空間は初めての力が存在する。
何にも変えがたい力なのかもしれない。

だからアーチストは旅をするのかもしれん。

各地で、自分から生まれた曲を初めての力で唄う。

そしてツアーは完結する。

その時、初めて生まれた曲が完成する。

だとすれば、俺の曲は全てが未完成。

ワンマンLIVEで昔の曲も最近の曲も初めての力で唄う。

そこに初めてがある限り、恩恵を授かっている力が存在する。

おそらく誰しも完成品に憧れる。

だが未完成だからこそ面白い。

きっと人生も同じ。

上を目指す。



2002年12月16日(月)

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