ほり日和  
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2004年08月11日(水) 僕に一番必要な言葉

ミュージカルbigの共演者だった子役の内の一部の子が

出演してる舞台を観に行ってきた。

場所は、愛知県立芸術劇場大ホール(以下−県芸ホール)。でけー。

この舞台に出演してる、bigの時の子役は3人。

この3人は、その県芸ホールの隣にあるNHK名古屋の所有する劇団

「NHK放送児童劇団」の団員で、そのNHK放送児童劇団の

毎年行っている公演のお芝居を観に行ったわけです。

前情報で、この3人はアンサンブル的な配役だと聞いていたので

探すの大変だなぁ〜と思っていたんですけど、



想像以上に大変でした!



結論からいえば、見つけらんなかったです。小さすぎて(笑)。

つーか、舞台がデカ過ぎます。なんてったって、県内一の広さです。

この内の出演者、土岐君という小学6年生の男の子がいるのですが、

僕は彼にチケットを頂いて、観に行ったのです。土岐君、ありがとう。

その土岐君から、公演の数週間前にこの舞台の話を聞いたとき、

「県芸ホールでやります」

と言っていたので、てっきり小ホールかと思っていたら、

「いえ、大ホールです」

と返され、思わず「えっ?!マジで」と失礼にも意外という気持ちで

返答したことを覚えてます。

だって、出演者のほとんど(約9割)が、まだ下の毛も生えぬ

年端もいかぬお子様ですよ。

鬼のような天井の高さと、50m走を余裕で計測できてしまう奥行きと

カミオカンデ(ニュートリノを計測できる世界最大の研究所)並みの

空間を持つ(←かどうかは知らん)、あの県芸大ホールですよ!

劇場のデカさと、出演者の小ささというギャップがありすぎて、

誰が何なのかさえわからぬ始末。これに"近眼"という僕の能力も

手伝って、誰がどの子で、その子なのかわかりませんでした。

まなちゃん、ゆうせき、土岐君、ごめんよ。

「絶対見つける。って言うか君ら3人すぐわかるって。」

「わからなかったら、失礼だしね〜」


などと、のた打ち回ってましたが、ハイ嘘つきました。

まなちゃんのお母さんにもこう豪語しましたが、ハイ無理でした。

正直言うと、子供たちはすべて同じに見えました。

表情も全然わかりません。みんなのっぺらぼうに見えた上、

目の悪さが手伝って、頭が1人につき2つ見えました(笑)。



あっ、まなちゃんのお母さん。メールありがとうございました。

これで掲示板の件については謎が解けました。いつも読んでくださって

ありがとうございます。この場を借りてお礼を申し上げます。



そんなアンバランスな舞台でしたが、終わってカーテンコールを迎えると

出るわ出るわ、ワラワラと。こんなに子供いたっけか?という

勢いで、右袖・奥袖・左袖・花道・客席から蛙の衣装を着た

子供がいっぱい。あの広い舞台が子供だらけ。

「こりゃこのキャパで正解なのかなぁ〜」

と思った。しかし、この劇場を平日とはいえ2日借りるとは・・・。

NHK恐るべし。



客席には同じくbigで共演した数少ない大人アンサンブルメンバーの一人と

半年振りに再会。彼はこのNHK児童劇団のOBなので

その関係で観に来たらしい。

同じく客席には、bigの振付指導の三代先生、坂本先生ともお会いする。

お2人は今公演でも振り付けをされているので。



ちなみに実は、今日はこの間に引き続きまた凹むことがあった。

もう3ヶ月前になるが、万博の群読「ソフィアの種」のオーディション。

僕は2次で落ちたのだが、今日客席で会った彼は合格したそうだ。

他にbig関係者で彼を含め、4人合格者がいることを彼の口から聞いた。

その時、僕に言い様のない感情が湧きあがった。



ごめん、今日はちょっと正直に行きます。多少愚痴交じりで。



ソフィアの種のオーディションに落ちたのは、当時は結構…というか

かなりショックだった。自分でいうのもなんだがそれなりの自信があった。

ショックだったもう一つの理由として、地元で行われる一度きりの万博に

提供側で参加できないことだった。最も得手とするジャンルで。

そういう意味で僕はある種、この万博には懸けているものがあった。

しかし、実際の結果は不合格。

もうメンバーは決定してるので、時効だから話すけど、

僕は本当は、1次の書類で落ちていた可能性があった。

と言うのは、僕は2次試験の3日前まで何も知らされてなかったのである。

ちなみに2次オーディション当日だった4月25日は、

西尾での舞台の本番2日目の日。西尾で1泊し、他メンバーより

早く起きて、一路名古屋に帰り、オーディション受けて、劇場に戻る。

当然、本番には間に合ってるが、正式な出演者の入り時間は2時間過ぎてた。

同じ西尾の舞台出演者の女の子が同じオーディションを受けるので

その繋がりで知ったのだが、彼女は電話で1次の返答があったのに対し、

僕は電話どころか、文面での返答もなかった。

合格なのか不合格なのか、そのどちらもなかったのである。

彼女の場合は書類を出したその3日後に電話で返答があった。

その時点で2次の日取りを教えてもらったのだが、その日が近づくにつれ、

何の返答もない僕の不安は増すばかり。

3日前になり、さすがにもう限界だった僕は、本来タブーだが

オーディションの事務局に電話を入れた。

などなど、ちょっと色々あった。俺にとってはいわく付のオーディション

だったのだ。本当はまだもっとあるけど、ここらでやめとく。

そんな事があって、まぁ結局は2次を受けれたわけだが

そこでアウト。不合格通知はハガキ一枚だったが結構重かった。

オーディションなんてある数受ければ、合格も不合格も

たくさんあって、それは時の運もあるだろう。今まで何度も

合格も不合格も経験して、目にして、受けてきたけど、

思い入れが強かったが故に、今でも時々思い出すほど悔しかった。





と、いうようなことを最近は時間のおかげで忘れられてたんだが、

かつての共演者が受かってたという事実。

現実を目の当たりにして耳にする僕と、嬉しそうに語るかつての共演者の彼。

ここで、この間の感情。一つは「おめでとう!」と素直に応援したい気持ち。

もうひとつは激しい嫉妬。我ながら終わったことをグジグジと情けないが

正直な気持ち。両方とも正直な気持ち。

合格した4人に対し、自分の方が特別勝っているとは思わない。

しかし、4人に対し何か劣っているとも思わない。

言葉にならないたくさんの感情が僕の中でグルグル回りだし、

僕は勝手にかつての悔しさを腹に溜めて、もう一つの素直な感情は

口からこぼして彼に伝えた。

客席で公演を見てる時、1幕中はほとんど、

「俺は客席で一体何やってるんだ」

と、自分の今の状況を嘆いていた。俺もあの場所へ行かなきゃと、

すぐには叶わないのに、焦っていた。



そのイライラから開放されたいが為に、帰り道の途中、

最初はその気もなかったのに、ラーメンやけ食い(笑)。



しかし、所詮姑息な手段。一時しのぎにしかならない自分への慰み。

その時たまたま別件で電話したある女性に今の自分の気持ちをちょっと話したら

こんな言葉が返ってきた。



「それは神様がワザと落としてくれたんだよ。

この後にもっと大きなオーディションに合格するチャンスをくれるために」




と、言ってくれた。

この言葉はまるで魔法だ。僕は一気に救われた気がした。

後ろ向きだった自分の背中を、暖かく、そして力強くもやさしく

押してくれた。僕は誰よりも前に進める術を与えてもらった。

僕が一番必要としている言葉を、彼女は与えてくれた。

彼女と友達でよかったと、心からそう思えた。

ありふれた励ましよりも、僕のことを考えて言葉を選んでくれた

彼女に感謝の言葉も見つからない。

本当にありがとう。



そして、とても素敵な舞台を僕に見せ付けて元気をくれた

3人の小さな子供たちにありがとう。

僕は、自分の弱い心に決して負けません。

いやらしい言い方だけど、今やっと、

僕が落ちたオーディションに受かった4人を一番素直に、

心から「お互い頑張ろう」とエールを送りたい。


ほりさとし |MAILHomePage

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