ほり日和  
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2002年07月21日(日) 誰がために戦う。

キャラクターショーは仕事。
アルバイトだけど、「現場に行って」、
「お客の前でショーをして」、「日給を貰って」る限り、
それは仕事だ。
だからリハーサルが前日だけであろうとも、
リハーサル時間が3時間ほどしかなかろうとも、
趣味で特撮ものが好きってだけだろうが、
暑い日なのにサウナスーツみたいなの着てようが、
現場の対応がイマイチだろうが、
素人だからヘタッピだろうが、
多少具合が悪くなったって、それは仕事。
一切、妥協の気持ちで臨んでいてはならない。

だから僕らアクションタレントは、
上から指示されたことをこなし、暑い中30分以上も
握手会をしても、愚痴の一つも出るけど、
仕事を完了させる義務がある。

最近、と言ってもショーの仕事に入ったのは久し振りだけど
「言われたことを仕事として適切に処理し、こなしているだけ」
になっている自分がいた気がする。
うなだれるような暑さの中、面(衣装)の中で
「あつい〜、早く終わらないかなぁ」と思いながらも
「でも仕事だから頑張るか」と思って頑張っていた。
でもそれだけで頑張ってるんじゃない事を今日、再確認した。
きっと、前者で語ってるような「仕事だからな」と言う想いだけ
だったら、今日あんなに頑張れなかったんではないかと思う。

今日、一回目のショーの直前、トイレに行ったら業者の
おばちゃんがトイレ掃除をしていた。
「暑い中大変だねぇ。でも頑張ってね。」
とエールを贈ってくれた。
「仕事ですから」
俺は淡々とそう答えた。そしておばちゃんの次の発言で
胸を打たれるような衝撃が突き刺さった。

「孫がね5人いるんですわ。それはもう『ハリ○ンジャー』が
大好きでね。ココに来るのを楽しみにしていたんですよ。」

胸が張り裂ける思いだった…。俺たちはリハーサルで既に
「暑い暑い」とダレていた。でも『仕事』だからと重い腰を
上げていた気がした。
うまく行かなかった立ち回りやミスを
自分の力量や暑さの所為にしたりもする。
自分の力量不足やミスを「じゃ、次ぎ頑張ればいい」
の一言で片付けたりすることもよくある。
でもそれは違うことを思い出した。

僕らには待ってくれている人たちがいる!
僕らが来るのを待ってる子供たちがいる!
本物のヒーローではないけれど、僕らが表現する
みんなのヒーローを観に来てくれている子供たちの存在。

いつも、僕らは彼らの前でショーをしているのに…
見えてるハズの人たちが『見えて』いなかったのではないか?
常にヒーローであることを大前提に、彼らの前では
カッコ良くなければならない。
彼らの為に、いや、僕らを待ってくれてた全ての人の気持ちに
応えられないでなにがヒーローの役か?
久々のヒーロー役で僕は少し浮かれていた気がする。

僕はそのおばちゃんの言葉を胸に
ずっとショーをしていた。少なくとも期待を裏切らない
カッコ良いヒーローであるために!
昨日の日記に「体力が持つか?」ってな事を書いたが、
そんなことを書いてた事が今となっては恥ずかしい。
一番大事なことがなんだったのか、僕は今日思い出した。
そしてこれからのショーの取り組み方に新たな誓いを立てた。
僕らが来るのを楽しみにしているのは子供たちなのだ。
その子供たちのために戦っているんだ。
僕が将来なりたくて、かつて憧れたヒーローたちはすべからく、
誰かのために戦っていたのだ。
これからの未来を作る小さな命のために・・・。

・・・今日少しだけ、本当に少しだけ、


俺が憧れていた「ヒーロー」と言うものに近づけた気がする。


<今日の追記;1日遅れでうなぎを食べた。>


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