コピーガード付きCD・その後… - 2002年08月03日(土) 久々にコピーガード付きCD(以下、CCCD)の話です。 今日、とあるレコード会社のA&R氏と会って、いろんな話をした。 本題はビジネスの話だったんだけど、 そこから脱線して今の音楽業界が抱えている問題を、 語り合ってしまった。部外者のクセして。 彼が言うには、アーティストの多くはCCCDの実態を知らないらしい。 先月の「ミュージックマガジン」の特集で知った、 というミュージシャンもいるという。 つまり、CCCDは作り手を無視した環境で導入されているわけだ。 ただ、一部のサウンドに自覚的なアーティストは、 宇多田パパのようにCCCDのサンプルをもらい聴いたうえで、 導入・非導入を決めているはずである、と。 つまり、わかってやってるミュージシャンもいるわけだ。 どこぞの評論家のように、 「すべてのポップミュージックは大衆のものである」 なんてことは言わない。 でも、わかって導入するのは消費者(ファン)に対し、あまりにも失礼だ。 そんなアーティストを許しておいていいのか? ボクはそういって怒った。 「気持ちはわかるけどさ…」とA&R氏は二の句を繋ぐ。 最近、喰えないアーティストが増えているそうだ。 サラリーマン以下のギャラで生活している者も少なくない。 売れているアーティストはまだいいが、 彼らのような貧乏アーティストのCDがRに焼かれ、 ネットで氾濫するのは、彼らの生活を脅かすことになる。 また彼らを支える事務所スタッフも路頭に迷うことになる。 個人的にはCCCD反対派だが、仕事面で考えてしまうと、 どうしても賛成せざるを得ない、と…。 確かにアーティストの権利は守られるべきだ。 どこかの雑誌でライムスターの宇多丸さんが言ってたけど、 CDを買うというのは、そのアーティストに対する、 投票行為だと思う。 僕も好きなアーティストが路頭に迷うのは嫌だ。 だから僕は積極的に“投票行為”をしている。 そもそもCDやアナログといった“ブツ”に対する、 愛着もあるしね。 でもアーティストの生活が脅かされるのは嫌だけど、 それを支えるスタッフやレコード会社を支えたいかといったら、 ちょっと迷ってしまう。 プロモーションやマーケティングが大切なのはわかるし、 それを支えるスタッフも必要だとは思う。 でも、なんかね…。 それに音楽業界はあまりにも肥大していると思う。 今のレコード会社はCDを出しすぎだし、 多くのアーティストを抱えすぎだ。 我々リスナーにとって買うに値しない音楽が、 増えすぎているという気もするんだよね。 レコード会社が審美眼を身につけ、 不良債権(売れないアーティスト)を、 増やさなければいいんではないの?という。 なんてことを言うとお偉いさんが血相変えて、 「音楽文化が育たなくなる!」とか言いそうだけど…。 そういえば「ROCKIN'ON」の30周年記念号に興味深い記事があった。 米HIPHOP界の重鎮=パブリックエネミー(以下、PE)のMC、 チャックDのインタビューである。 インタビューの中でチャックDは実に興味深いことを言っていた。 要約するとこうだ。 「今のリスナーはCD焼いたり、ネットから入手したりして音楽を楽しんでいる。そんな中、従来どおりの15曲入りアルバムを作っていてもダメだ。そういう層が購買意欲をそそられるフォーマットのCDを作っていくのが、今後の音楽家のあり方ではないか」 素晴らしい意見だと思いません? 今回、PEが出した新譜「レヴォルバリューション」は、 新録音源とライブ音源に、インターネットで募集したリミキサーによる、 人気曲のリミックス音源が入っているという。 聴いてないので多くは語れないが、 これが革新的フォーマットだとは思わない。 (来日記念盤的な趣だよな) しかし、キャリア10年・幅広い年齢層のファンを持つ彼らだからこそできる、 偉大なる変化球なのは間違いない。 そして何よりも、売れない原因をリスナーに求めていない。 あくまで自分たちの問題として捉え、その答えを作品で出そうとしている。 偉い。すごく偉い。本気で尊敬します。 日本のアーティストからこういう声が聞けるのはいつになるんだろう…。 ...
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