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2006年09月06日(水)
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世間話 |
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母上が、脳トレーニングでズルをする。 記憶診断なのに、メモに書いてズルをする。 なのに、脳年齢が80歳より下に下がらない。 なぜだ。 多分、操作方法をどっかで間違えてるんじゃないかと予測。
そんな母上が、虹がどーのという話を近所の人から聞いてきた。 その人のことを「○○ばーちゃん」と表現するので、ふと尋ねた。
私:「あれ?○○さんって、ばーちゃんっていうような年齢だっけ?」 母:「(真顔で)ううん」
おーい。 なら、なんでばーちゃん扱いしたんだよ。
さて。 今日は比較的涼しく、夜には半袖では肌寒いくらいの陽気になった。 朝からテレビは男子ご出産ってやつを延々放映し続け。 私はそれをBGMに(って、殆ど聞いてもいないんだけど)イヤイヤ仕事。 月曜日に鎌倉で買物やら食事やらと遊んでしまったせいもあり、仕事が詰まって逃げられない。
ちょうどタバコが切れたので気晴らしに外に出ることに。 自販機に行こうとしたら、小銭が無かった。 仕方ないので、自販機の倍ぐらいの距離にある酒屋に歩いて行った。
昔はよく見かけたけど、最近は少なくなった家と店舗がくっついてる酒屋さん。 店に人がいないときは、すみませーんって大声で呼ぶと家事をしてた風なオバちゃんが出てくるような酒屋さん。 お酒以外は、申し訳程度のお菓子とか何故か酒屋なのに洗剤とかの日用品が置いてある酒屋さん。 大概、それらは埃がうっすらかぶってたりする、ハタキが似合う酒屋さん。
そんな酒屋さんに入ると、センサーで機械が「いらっしゃいませ」と言う。 滅多に来ない店なので、その音のデカさに一瞬ビクった。 ビクった程大きな音だったのに、レジの向こうで私に背を向けて家の中から何をと取り出していたオジさんは、私の「タバコください」と言う声に、思いっきりビクって振り返った。 なんの為のセンサーなんだろう?と思ったけど、気を取り直してタバコの銘柄を告げた。
タバコをレジ台に置いて、私がお財布からお金を出している時にオジさんが言った。
「今日は、過ごし易いですね」
私は、「そうですね。久しぶりに。」って、全然久しぶりじゃない。 一昨日だかも涼しかったのに、話し掛けられる心の準備が無かったもんだから、咄嗟にそう答えた。 オジさんとの会話は、そこで途切れた。
私が渡した一万円のお釣りを「1.2.3・・・」とオジさんが数えてると、テレビの音が聞こえてきた。 すると、オジさんが言った。
「男のお子さんが生まれたそうですね」
「みたいですね。朝からテレビで、ずっとやってますね。」
今度は、さっきよりはマシな答えが出来たような気がした。 オジさんから、それに対する返事は無く。 代わりに「袋いりますか?」と聞かれた。 本当は欲しかったけど、なんだか拍子抜けしたので「いいです。そのまま持って帰ります。」と言ってしまった。 っていうか、袋が無いんだから、そのまま持って帰るのは当然なのに。 「いいです。」の一言で済むのに。 わざわざ、どうやって持って帰るかを言った私は、何にうろたえたんだろうか。
タバコ1カートンと財布を左手に持ち、とぽとぽ歩きながら思った。 オジさんは接客のプロだわさ。 オジさんは相手の返事なんか期待してない。 けど、コンビにやスーパーと違って、ああいう小さな店で客相手に何も話さないのも味気ない。 私がいつもタバコを買いに行く文房具屋のお爺ちゃんなんかは、店の前のポストに宅配レンタルDVDを投函してるだけなのに、「おや?ラブレターかい?」とかって話し掛けてくる。
って、今、気付いた。 なんで、今日に限って私はあの酒屋に行ったんだ? 自販機と同じ距離っつーか。自販機は、いつもいく文房具屋の前にあるんじゃん。 あそこで小銭が無い時にもタバコいつも買ってるじゃん。 けど、今日は何故か酒屋以外では1万円札でタバコが買えないと思い込んでたんだな。 なんでだ?不思議。
まぁ、良い。話を戻そう。
そうなんだ。 私が子供の頃からあるような店の人は話し掛けて来るんさ。 それが知らない客でも。例え、通りすがりに入っちゃっただけの1回こっきりの客でも。ご近所さんかのように話し掛けて来るんさ。
文房具屋の爺ちゃんは懐っこすぎて、早々に立ち去りたい時には時々返事に困る。 それに比べて、同じ話し掛けるでも酒屋のオジちゃんは相手の返事を期待してないところが微妙に違う。 世間話なのに、会話が続かなくても大丈夫。 お金の受け払いの間の一言ずつだから、ロスタイムは生じない。 相手が誰でも悪い気はしないし、困りもしない話。 返事がなくても、嫌な気分になったりしない話。 相手一言。自分一言の世間話って、考えてみたら難しい。
おお。これは、世間話のお手本ではあるまいか。
世間話を自分から振ることも、それを自分から切り上げるタイミングも掴めない私にとって、この酒屋のオジさんは理想的。
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