ハードボイルド・ワンダーランド

2002年05月02日(木) 子猫の鳴き声

(副題:「空飛び猫」シリーズ:アーシュラ・K・ル=グウィン 村上春樹訳 より)

…「ミイ!」とその声はすがるように叫んでいました。「ミイ! ミイイイイ!」…

…真っ白な子猫の歯を見せながら、二人に向かって勇ましくうなり声をあげました。それは「嫌いだ! 嫌いだ! 嫌いだ!」と聞こえました。…

「帰ってきた空飛び猫」より

村上春樹は同書の訳注にて以下のように述べている

…子猫の「ミイ、ミイ」という鳴き声であるわけですが、それと同時に「私よ!私よ!私はここなのよ!」という救いを求めるメッセージにもなっている…

…子猫は"HATE! HATE! HATE!"と叫びます。…


本文(日本語)を読むだけだとピンとこない台詞

モノを書く行為っていうのは
思考を文字に変換し 書き留める
読み返して気に入らなかったら 直す
(だけど思考や感情はそのときかぎりでしかない)
(止まらない時間 変わりゆく「自分」)
そうしてでてきた本を手にとる 他者
他者次第で本の価値は変化してしまう
じゃあ
翻訳されたものは?

ことばや生活様式等の文化的な違いといった決定的な壁
訳者の思考

そんなしがらみがあるんだ

ただ 読むもよし
でも ときには読み込んでみたい
そういった背景や ちょっとしたことを尊重したい


忘れてしまわないように自分に言い聞かせる
本に触れることは著者に触れることであり
(つまり他者と対峙することであり)
それを通じて自分と向き合うこと


(二日酔いの床でふと思う)


   あしあと  

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