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2005年11月25日(金)
裏切り

私は浮気をした経験があるのです。そもそも私は大学時代はじめて女性と交際を持ちました。向こうにとっても私がはじめての交際相手でした。学生のこわっぱ同士の付き合いでしたが、本気でした。丸3年近く付き合い、もろもろの理由から、私たちは別れました。それまでも幾度かの危機がありそれを乗り越えてきたのですが、最後はもう修復のしようがありませんでした。原因はお互いにあり、今となっては自分の非も認められるのですが、当時は相手を責め、互いにぐさぐさに傷つけ合う最悪の別れ方をしました。その2ヵ月後私は他の女性と付き合いはじめました。すっきりさわやかに幾分自暴自棄に、ほとんど無理やりに新しい彼女を自分の腕に引き寄せたような気がします。乱れる想いの矢印を断ち切って、結果心を痛める人が友人を含め幾人かいると分かっていて、それでも私は選んだ。利己の心に従った。私は新しい彼女のことが好きでした。善良でやさしい娘でした。人に勝つのは甘い。親友を痛めつける苦しい甘さ。今私は書きながら吐きそうです。そして、すべて望むままに手に入れたかに見える幸せを、私は粗末に扱った。私は浮気をしたのです。相手は別れた元の彼女でした。私はまだ彼女を愛していた。憎み、なじって軽蔑した人間を愛していました。私が彼女と別れて一番深かったダメージは、彼女がもっとも行動を共にし、話をし合った友人であり、その存在を失ったことでした。私はそれが懐かしかった。つかの間の触れ合い、そこにもはや本当の信頼は失われていると知りつつ、行ったセックスの衝動と快楽の苦さ。不遜な、暴力的な悦び。相手を殴るようにして私は愉しんだように思います。周囲の目に隠れて私はそれを繰り返した。人を裏切ることの、喩えようのない甘美な味。自分がドラマの中に入ったような、いつか見つかるのではないかという恐れと思い上がった快感が入り混じった感情。自己憐憫。結局そのようなことは明るみになり、私は全て失いました。私は気持ちの悪い、軽蔑すべきことを行いました。釈明の余地はありません。しかし、開き直りではなく、私はその時々で本気でした。私は私に従い、受け取るべきものを受けとった。後悔はありません。後悔はありませんが、自分の行為のもたらす結果を、重く考えるべきときがあることを知りました。私は新しい彼女のことが好きで、彼女のことを愛そうと努めました。(そう私は愛を努めようとしていたのです)それが彼女を傷つける結果になってしまいました。彼女にとって私のことなどもう既にくだらない過去のことになってしまっているのかもしれません(そうであったほうが気が楽になります)が、私は彼女をのことを忘れないでしょう。
あれから長いブランクの末、私は今再び、新しい人を得ました。私は彼女を幸せにしたいと願います。今まで好きだった誰よりも幸せに。
―こうして書いて過去に決着が付く訳でも清算ができる訳でもないと思うのですが、とりあえず私は今、このことを書いておきたかったのです。