窓のそと(Diary by 久野那美)

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2001年01月03日(水) 「愛もなく何故創った…。」  

年末に「フランケンシュタイン」のテレビ放送を見た。
ものすごい映画だった。
壮絶に悲しくて美しい映画。
「正しい」ものが悲しく、「間違った」ものが美しい映画。

脱走した「怪物」が自分を創った博士の書いた日記を読んでしまう。
そこには彼の反省が書かれている。研究が「失敗だった」こと、彼の創ってしまった生命体が「間違った」ものであることが書かれている。

「失敗」の結果であり「間違った」成果であるその怪物は、その言葉に自分の存在を根こそぎ否定される。
彼が「怪物」として人間を襲うようになるのは、実はその後からだ。
怪物と話し合い、問題を解決しようと試みる博士と怪物の気持ちは最後まで交わることはない。
怪物にとっていちばん肝心な、たったひとつの問題に、博士は最後まで思い至らない。
博士は家族を失い、妻を失い、仕事を失う。

映画のラスト。自分の「失敗」の責任をとることに奔走し、死んでいった博士の傍らで怪物は涙を流す。
「何故泣いている?」と聞かれて彼は答える。
「このひとが自分を創ったのだ…。」

ああ。もう。こんなやりきれないことがあっていいのか。
誰からも疎外されたこの圧倒的な事実に誰がどう責任をとるんだ?
間違ってるって何?
失敗って何?
安易に反省することは決して謙虚じゃない。暴力だ。

「愛もなく、何故創った…。」
映画のコピーになっていたこの言葉を、怪物は実際にはいちども口にしなかった。


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