長い長いトンネルだった。出口だと思って近づいてみると、小さな光は遠くに消えていった。歩いて、走って、休んで。どこにあるのかさっぱり分からない出口を探していた。 何もかもが嫌になってしまいそうだった。自分の存在意義を疑った。無為な時間が過ぎ去っていくような気がしていた。 肉体なんて幻だと思った。体力という言葉ほど、信用ならないものはないと思った。 燃えかすになった俺に最後に残ったもの。 それは、気持ちを切らさない…ってことだった。
昨日、血液検査を行い、その結果、今日の退院を認められた。入院305日目(移植後121日目)、ついに、湯之谷に帰ることになった。
【Referer】
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