『KJ高校って体育祭とか、ちゃんとあるんだって。』
あれほど、R高野球部と言い続けていた長男が言った。
小学校の頃から同じメンバーでやってきた野球だった。最後の最後までベンチで応援するばかりだった。試合に出た回数は数えるほど。それでも、高校では野球をすると言っていたのに。
今日は、最後の予選だった。たぶん、同じメンバーで戦う最後の公式戦だ。
結果は、トーナメント一回戦でノーヒットのままあっさりと負けたらしい。ホント、簡単に終わった。
他の子よりひときわ小さくて、夏休みに球場まで行く間に倒れてしまうんじゃないかと思うほどで。雨が降ってきては心配になって、暗くなっても帰ってこなくて探しに行ったり。
それでも、『野球!』と言っていた。寝る前の素振りを欠かさなくなって。下手くそだけど高校へ行っても野球を続けるんだと言っていた。
それが、あまりにあっさり負けたことが影響したのか?
苦しくとも辛くとも、頑張ってきた小学校からの6年間に決着をつけたということなのか?
自分自身を見切ったかのようにあいつは言った。
最後に決めるのは本人だけど。
【Referer】
|