中学野球部の練習を見に行くと、中ニ♂がフリーバッティングに加わらず、独りサーキットトレーニングをやっているのを見つけた。どうしたんだろう?ヤッパリ下手くそだから練習させてもらえないんだろうか?それとも、何かヘマをやらかして罰ゲームをやらされているんだろうか?
不安に思ってはみたが、何かをどうにかすることができるわけではないし、できたとしても親馬鹿丸出しになる。見ていて切なくなったが、取りあえずその場を離れることにした。
用を足して一時間後、再び練習グランドに戻ってみると、そこにはヤツの姿はなかった。
あれれ?
遠くから目を凝らしてグランドを注視するのだが、チビ坊主の姿を確認する事はできない。もしかして、練習が嫌になって家に帰ったのか?そりゃそうだよな、ひとり、練習に参加させてもらえないのなら、俺でも腐る・・・などと、親馬鹿な心が顔を覗かせる。
そこへ、クルマのミラー越しに後ろからヤツが走ってきた。
あー、いたいた。いるんだ、やっぱり。なんだかわけわからんが、オレの目は潤々だ。こんなところを見せたら親父の威厳がなくなるので、とっとと家へ帰らなくては。
***
夕方遅く、真っ暗になってからヤツは帰ってきた。
「なぁ、なんでお前だけ練習に加わらないで走ってんだ?」
『1週間前くらいから肩が痛くて、キャッチボールできない。』
「じゃ、ずーっと、走ってばかりだったのか?」
『うん、そうだよ。あとは筋トレサーキット。』
「そんなに肩が痛いなら医者に診てもらわなきゃ。もっと早く言えば良いのに。」
『ぁ。忘れてた。』
忘れてた・・・。
なんというか無頓着な。でも、それがお前のいいところなんだろう。
【Referer】
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