「公共事業は、法にかない、理にかない、情にかなうものでなければならない」 これは、民主主義を信じ、国家権力と闘った室原知幸氏(1900-1970)の言葉である。
1957年に建設省が筑後川治水のため下筌・松原ダムの建設を計画した。室原氏の住む地域は、水没予定地に当っていた。彼は、反対運動の指導者として、ダム建設は、「法にかない、理にかない、情にかなう」ものでなければならないとし、予定地の険しい山腹に「蜂ノ巣砦」を築いた・・・。
社会人に成り立ての頃、上司が「土地を扱う仕事なのだから、この話は知っておいたほうがいい。」と一冊の分厚い本を薦めてくれた。「公共事業と基本的人権(蜂の巣城紛争を中心として)」下筌・松原ダム問題研究会/編である。家に持ち帰り、毎晩、興奮して読んでいた。
内容をひとつひとつ思い出すことはできないが、「法にかない、理にかない、情にかなう」という言葉は脳裏に焼きついている。公共事業に限らず、社会を構成する一員として肝に命じておきたい言葉である。
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