2002年03月07日(木) |
第7章 鑑定評価の方式③
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【留意事項】 Ⅴ「総論第7章 鑑定評価の方式」について 1.価格を求める鑑定評価の手法について (1)試算価格を求める場合の一般的留意事項について ① 取引事例等の選択について ア 必要やむを得ない場合に近隣地域の周辺地域に存する不動産に係るものを選択する場合について この場合における必要やむを得ない場合とは、近隣地域又は同一需給圏内の類似地域に存する不動産について収集した取引事例等の大部分が特殊な事情による影響を著しく受けていることその他の特別な事情により当該取引事例等のみによっては鑑定評価を適切に行うことができないと認められる場合をいう。 イ 対象不動産の最有効使用が標準的使用と異なる場合等において同一需給圏内の代替競争不動産に係るものを選択する場合について この場合における対象不動産の最有効使用が標準的使用と異なる場合等とは、次のような場合として例示される対象不動産の個別性のために近隣地域の制約の程度が著しく小さいと認められるものをいう。 (ア)戸建住宅地域において、近辺で大規模なマンションの開発がみられるとともに、立地に優れ高度利用が可能なことから、マンション適地と認められる大規模な画地が存する場合 (イ)中高層事務所として用途が純化された地域において、交通利便性に優れ広域的な集客力を有するホテルが存する場合 (ウ)住宅地域において、幹線道路に近接して、広域的な商圏を持つ郊外型の大規模小売店舗が存する場合 (エ)中小規模の事務所ビルが集積する地域において、敷地の集約化により完成した卓越した競争力を有する大規模事務所ビルが存する場合 ウ 代替、競争等の関係を判定する際の留意点について イの場合において選択する同一需給圏内の代替競争不動産に係る取引事例等は、次に掲げる要件に該当するものでなければならない。 (ア)対象不動産との間に用途、規模、品等等からみた類似性が明確に認められること。 (イ)対象不動産の価格形成に関して直接に影響を与えていることが明確に認められること。 ② 地域要因の比較及び個別的要因の比較について 取引事例等として同一需給圏内の代替競争不動産に係るものを選択する場合において、価格形成要因に係る対象不動産との比較を行う際には、個別的要因の比較だけでなく市場の特性に影響を与えている地域要因の比較もあわせて行うべきことに留意すべきである。 (2)取引事例比較法について この手法の適用に当たっては、多数の取引事例を収集し、価格の指標となり得る事例の選択を行わなければならないが、その有効性を高めるため、取引事例はもとより、売り希望価格、買い希望価格、精通者意見等の資料を幅広く収集するよう努めるものとする。 なお、これらの資料は、近隣地域等の価格水準及び地価の動向を知る上で十分活用し得るものである。 ① 事例の収集について 豊富に収集された取引事例の分析検討は、個別の取引に内在する特殊な事情を排除し、時点修正率を把握し、及び価格形成要因の対象不動産の価格への影響の程度を知る上で欠くことのできないものである。特に、選択された取引事例は、取引事例比較法を適用して比準価格を求める場合の基礎資料となるものであり、収集された取引事例の信頼度は比準価格の精度を左右するものである。 取引事例は、不動産の利用目的、不動産に関する価値観の多様性、取引の動機による売主及び買主の取引事情等により各々の取引について考慮されるべき視点が異なってくる。したがって、取引事例に係る取引事情を始め取引当事者の属性(本留意事項の「Ⅳ「総論第6章 地域分析及び個別分析」について」に掲げる市場参加者の属性に同じ。)及び取引価格の水準の変動の推移を慎重に分析しなければならない。 ② 事情補正について 事情補正の必要性の有無及び程度の判定に当たっては、多数の取引事例等を総合的に比較対照の上、検討されるべきものであり、事情補正を要すると判定したときは、取引が行われた市場における客観的な価格水準等を考慮して適切に補正を行わなければならない。 事情補正を要する特殊な事情を例示すれば、次のとおりである。 ア 補正に当たり減額すべき特殊な事情 (ア)営業上の場所的限定等特殊な使用方法を前提として取引が行われたとき。 (イ)極端な供給不足、先行きに対する過度に楽観的な見通し等特異な市場条件の下に取引が行われたとき。 (ウ)業者又は系列会社間における中間利益の取得を目的として取引が行われたとき。 (エ)買手が不動産に関し明らかに知識や情報が不足している状態において過大な額で取引が行われたとき。 (オ)取引価格に売買代金の割賦払いによる金利相当額、立退料、離作料等の土地の対価以外のものが含まれて取引が行われたとき。 イ 補正に当たり増額すべき特殊な事情 (ア)売主が不動産に関し明らかに知識や情報が不足している状態において、過少な額で取引が行われたとき。 (イ)相続、転勤等により売り急いで取引が行われたとき。 ウ 補正に当たり減額又は増額すべき特殊な事情 (ア)金融逼迫、倒産時における法人間の恩恵的な取引又は知人、親族間等人間関係による恩恵的な取引が行われたとき。 (イ)不相応な造成費、修繕費等を考慮して取引が行われたとき。 (ウ)調停、清算、競売、公売等において価格が成立したとき。 ③ 時点修正について ア 時点修正率は、価格時点以前に発生した多数の取引事例について時系列的な分析を行い、さらに国民所得の動向、財政事情及び金融情勢、公共投資の動向、建築着工の動向、不動産取引の推移等の社会的及び経済的要因の変化、土地利用の規制、税制等の行政的要因の変化等の一般的要因の動向を総合的に勘案して求めるべきである。 イ 時点修正率は原則として前記アにより求めるが、地価公示、都道府県地価調査等の資料を活用するとともに、適切な取引事例が乏しい場合には、売り希望価格、買い希望価格等の動向及び市場の需給の動向等に関する諸資料を参考として用いることができるものとする。
【Referer】
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