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今日家庭教師先の家に行くと 「ちょっと今日は出られないみたいなんです」 とお母さんに言われた。 その子の部屋をのぞかせてもらうと、 頭まで布団にくるまって、 お母さんが「○○、先生いらっしゃったよ」 って言っても返事もせず、全然出てこなかった。 そこで今日勉強するのは諦めて、 お母さんとその子の様子についてゆっくり話す。 そのお母さんは仕事柄、不登校とかはたまた情緒障害には 慣れっこな方なんだけれども、 あぁ、お母さんも苦しんでいるんだなぁ。 と思わずにはいられなかった。 私も高3のとき、学校行きたいけど行けないことがあったから その子どもの気持ちはよくわかる。 学校は家から近いし、友達には恵まれているし、先生も嫌いじゃないし、 私の場合は勉強も好きだったのに なぜか、朝になるとお腹痛くなったりして学校行けなかった。 行ったら行ったで別にふつーなんだけどね。 そんなときに親は学校行かないことを叱らなかったし、 とがめもしなかった。 「ま、今日はいいんじゃない?」 そんな感じで、休むのも遅刻するのも許容されていた。 本当は親も心配してくれていたのだと思うけど。 大学受験に合格して、楽しい学生生活を送っている今でも あのときなぜ高校に行けなかったのかはわからない。 原因はわからないままだけれども、 もう私の中では解決された問題である。 だから無理に原因を探さなくても大丈夫だよ ということを親御さんに伝えてあげるべきだったんだろうけど なかなかそれは話せなかった。 今日はお母さんのお話を聞くことに専念した。 そうこうして、1時間もたたないうちに、 ひょっこりその子が部屋から出てきた。 お母さんは 「あ〜やっと出てきてくれた。私が悪かったんよね、そうなんよね。 涙が出そう。これも先生のおかげです。」 と言った。 本当に少し涙ぐんでいた。 私は何もしてないのに。 本当にほっとしたような、うれしそうな顔だった。 お母さんもすごくすごく辛かったんだね。 こんなに子どもに対して愛情を持って接しているお母さんなら きっとこの子の未来は明るいな、と思った。 そして私も自分の母に会いたくなった。 その子はこの春中学生になります。 この調子でいくと私は大学生活全部をかけて、 この子が中3になるまで 家庭教師としてつきあっていくわけなんだけれども 変化を促すのは私の役目ではない。 なぜなら、それは家庭の問題だからである。 ただ、変化していくであろうその家庭を、 そっと支えてあげられたらな、と私は思う。 |