昨日、保育園からの帰り道、娘のたまと手をつないで歩きながら、「クリスマスがくるね」と何気なく言ったら、「クリスマス、どこ?」と返事が返って来て、不意打ちを食らった。カレンダーを見ながら「あと何日」と数えることがすっかりしみついた身には、クリスマスとの距離を「いつ」ではなく「どこ」と測る感覚が新鮮。でも、考えてみると、「はるがきた はるがきた どこにきた やまにきた さとにきた のにもきた」という歌がある。季節やイベントの訪れを景色や気配で感じることができるのは、カレンダーで確かめるより豊かなことのような気がする。
家と保育園を結ぶ住宅街の道のあちこちにもクリスマスはやって来ていて、外の螺旋階段に等身大のサンタさんが張りついて(2階によじ上ってプレゼントを届けに行く途中と見受けられる)いたり、イルミネーションがまたたいていたり、染物屋の軒先のショーウィンドウに箸置きサイズのサンタさんが並んでいたり(左端の寝転がっている「ねんねサンタさん」が、たまのお気に入り)、ぬいぐるみが並ぶ薬屋さんのショーウィンドウにツリーがお目見えしたり。
クリスマス探しに夢中になって帰宅すると、わが家のクリスマス感のなさが際立つ。大学の卒業式にクリスマスツリーに扮したほどのクリスマス好きなのに、今年の年末はとくに仕事が忙しくて、それどころではなくなっている。クリスマスのにぎやかさの代わりにちらかり放題の室内を探険し、クリスマスカラーの赤いものを集めた。一昨年クリスマスケーキが入っていた長靴やサンタの靴下やハートの置物などなど。並べてみると、多少華やいだ感じになって、たまは「クリスマスだね」とにっこりした。
……という体験から生まれた、今日の子守話。
子守話28 クリスマスみいつけた
「クリスマスがくるね」とおかあさんがいいました。「クリスマスはどこ?」とたまちゃんがいうと、「クリスマスは、もうすぐくるのよ」とおかあさんはわらいました。「でも、たまちゃんのちかくにも、もうきているわね」といいました。
たまちゃんは、クリスマスをさがしにでかけました。ほいくえんのまどには、トナカイがひっぱるそりにのったサンタクロースがいました。スーパーマーケットには、おおきなクリスマスツリーがありました。きんじょのおうちには、おほしさまみたいなライトがピカピカひかっていました。
だけど、たまちゃんのおうちには、まだクリスマスはきていません。「そうだ、クリスマスをつれてこよう」とたまちゃんはおもいつきました。そして、いえのなかをさがしまわり、サンタクロースのふくとおなじあかいいろをしたものをたくさんあつめました。あかいくつした、あかいなべつかみ、あかいコップ、あかいはこ。ありったけのあかいものに、あかいリボンをくくりつけて、みどりのはっぱのきにかざると、クリスマスツリーのようになりました。きのてっぺんに、たまちゃんはあかいぼうしをかぶせました。ぼうしにはきいろいおほしさまがついていて、ますますクリスマスツリーらしくなりました。 |
2006年12月09日(土) 『現代映画聖書』と『麗しの銀幕スタア』
2002年12月09日(月) ドカ雪