母とわたしとたまの女三世代で、幼なじみのたかの家に遊びに行く。たかとは小学生の頃、スポーツ教室でバレーボールや器械体操を習った仲。中学校ではソフトボール部で一緒だった。たかのおばちゃん(友人のお母さんを「おばちゃん」と呼ぶのは関西特有だろうか)とわたしの母は海外旅行に連れ立って出かける仲で、昔から家族ぐるみのおつきあい。
たかもたかのおばちゃんも子ども好き。時々遊びに来るたかの弟のおチビちゃんのためにおばちゃんが作った「おおかみと7ひきのこやぎ」の布絵本を見せてもらう。表紙のドアを開けると、中面の見開きいっぱいを使った赤ずきんちゃんの家の中。カーテンの後ろ、時計の中、ベッドの中、あちこちに隠れられるようマジックテープが施されている。10か月半のたまには芸の細かさのありがたみがまだわからない様子で、平気で踏んづけたりしているのだが、あと半年ぐらいして、一緒に子ヤギやオオカミを動かしながらお話を作れたらどんなに楽しいだろうと想像する。「簡単に作れるよ」とおばちゃんに言われてその気になったけれど、おばちゃんの仕上げたキルト作品の数々を見て、スタート地点が違いすぎると思い知る。一面の空に鳥を飛ばすとか、一面の海に魚を泳がせるとか、フェルト一枚にマジックテープをくっつけただけの入門編なら手に負えるだろうか。
幼稚園で働いているたかは、「今幼稚園ではやっているねん」と「エリック・カール絵本うた」のCDを教えてくれた。家でときどき読み聞かせている「はらぺこあおむし」の絵本の文章がそのまま歌詞になっている。他に「できるかな」「月ようびはなにたべる?」を収録。どれもメロディが親しみやすく、すぐに口ずさめる。「できるかな」はふりつきで、たかが踊ってくれた。ペンギンやキリンやサルやゴリラがそれぞれの得意のポーズを「あなたもできるかな」と問いかけ「できるよできる」で一緒になって体を動かす。まだ思い通りに手足を動かせないたまも、たかの動きの面白さに目をきらきら。「幼稚園の子どもたちが夢中になって踊っている」という光景が想像できる。ダビングしてもらい、エンドレステープにして流していると、「ダイエット体操になりそう」と母。
夕方は、たまを連れて三年前に亡くなった幼なじみの佳夏の家にお邪魔した。突然の訪問だったので遠慮する気持ちはあったのだけど、数日前に佳夏の同級生だった人からメールを受け取ったので、そのご報告がてらうかがうことに。佳夏の家に行くと、佳夏と遊んだ子ども時代のことを思い出す。絵本もよく読んだ。いちばん夢中になったのは、かこさとしさんの『うつくしいえ』という一冊だった。名画といわれる作品に子どもにもわかりやすい解説をつけて紹介したもので、同じページを飽きもせずに眺めていたものだ。三十年ぐらい前のことなのに、そのときの本棚の位置や、立って絵本を広げていた自分の目の高さや、「ヴォルガの船曳」という絵になぜか惹きつけられたことなどを思い出せる。その後、留学先のアメリカの高校で美術クラスを取って、高校を出たらアートスクールに行きたいなんて思ったルーツも、幼い日に出会ったこの本にあったのかもしれない。娘にも読ませたい一冊を選ぶとしたら、『うつくしいえ』は外せない。
2005年07月08日(金) いまいまぁ子とすてちな仲間たち
2000年07月08日(土) 10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/29)