■昨夜は亜紀ちゃんちの新聞で愛知万博の下調べ。「11時からイエメン館でショーがあるって」「よし、それに行こう」。平日とはいえ長い列を待った後に10時過ぎに入場し、まっすぐイエメン館をめざすと、すでに人が集まりはじめていた。係員がロープを張ると、運良く最前列に。そのうち押すな押すなの人だかりになって列の後方へ後方へと追いやられていく。「すごい人気なんだね、イエメンショー」と期待が高まっていると、係員が「お見えになったらしゃがんでください」と声を張り上げる。なぜ、ダンサーに尊敬語?この時点で、場を仕切っている人たちがなぜか黒いスーツに黒いバックパック、インカムという出で立ちであることに気づく。と、イエメン館ではなく、お隣のカタール館から姿を見せたのは、わが国の皇太子様。人々の熱気と興奮の理由がようやく腑に落ちる。結局、イエメン館では商魂たくましい兄ちゃんと買い物ゲームの末、値札のついていない指輪を2400円に値切って買う。■企業館、ドイツ館といった人気パビリオンは、人が少なくなるという夕方以降を狙うことにし、すいすい入れるパビリオンを梯子することに。写真を並べただけの面白みのない展示もあるが、どのパビリオンにも思わぬ掘り出し物が待ち受けていて、目が離せない。インド館では、現地のものと思しき漫画をデザインした「マニーシュアローラ」のワンピースに釘付け。キャンディなどの包み紙が色鮮やかな鶏のオブジェやバッグに生まれ変わるアフリカ共和国のリサイクルアートも感動もの。メキシコ館内では、「海は波によって測られる 空は翼によって わたしたちは涙によって」というハイメ・サビーネスの詩に心を打たれた。冷凍マンモスに長蛇の列がつく一方で、エチオピアのブース前に「Lucy is here」と手書きの貼り紙があり、人類最古の骨格化石「ルーシー」が淋しそうに体をさらしている。いくつかのパビリオンで取り上げられていたケツァル鳥は「一生に一羽と添い遂げる」「自由を奪われると死ぬと言われる」鳥で、物語のモチーフになりそう。特に良かったのは、自分で楽器や万華鏡を操作できるチェコ館、遊びながら技術のしくみを学べるイギリス館、1時間に1度のタンゴショーを堪能できるアルゼンチン館。死海体験ができるヨルダン館で見学者が目にするのは、「プールに浮く水着姿の知らない男女」。ところで、万博ガイドによると、今日は「チャドの日」。何かチャドの特別な催しをやっているかも、とアフリカ共同館にあるチャドのブースを探し当てると、そこはもぬけの殻で、「チャド共和国」のプレートだけが掲げられている。隣のブースにいる案内係のお姉さんに「チャドのブースはどこかに出張してるんですか」と聞くと、「いえ、まだ着いてないんです」「じゃあ、この状態は……」「チャド待ちです」。チャド待ちという響きがおかしくて、亜紀ちゃんと大笑い。今頃愛知目指して向かっているのか、それとも開催期間を忘れているのか。チャドの日は見事に飛んだけど、わたしと亜紀ちゃんには、かえって忘れられない国になった。■ショーは愛知県館『地球タイヘン大講演会』と亜紀ちゃんが大ファンの石井竜也が総合プロデュースする『The Forest Fairy's Ball 〜精霊たちの森林舞踏会〜』を観る。愛・地球博ということで、どちらも環境問題を取り上げた作品。メッセージがストレートすぎて、ちょっとおなかいっぱい。でも、地球タイヘン〜の「温暖化で氷が解け、5,000年の眠りから覚めたミイラ『アイスマン』」から「5,000年後の地球」を考えさせる視点は面白かった。■屋外での大道芸ショーはかなり楽しめて、見始めると最後まで見てしまう。目が後ろにもついているようなオランダのフレディのボール芸。技よりもトークで沸かせるドイツのオーパスフォーレは、ミッチ&マイクのペア。クラウンCHANGの玉乗り芸にも圧倒される。サツキとメイの家に続く遊歩道をぶたぶら散歩したり、各国パビリオンでちょこちょこ食べたり、何時間いてもやることはいくらでもあるけれど、12時間も歩き回って、足はくたくた。
2002年06月08日(土) P地下
2000年06月08日(木) 10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/11/26)