■知り合いの川上徹也さんが戯曲を書いたG-up(代表者:赤沼かがみさん)プロデュース公演『ブレインズ』を観る。売れない脚本家・大山田鉄男(遠山俊也)のもとに超特急の仕事が舞い込み、彼の脳内に生息するキャラたちが喧々諤々のアイデア出し(これぞまさにブレーン・ストーミング)。果たして鉄男の書きたいものは見つかるのか、締め切りに間に合うのか、という史上初(かも)脳内シチュエーション・コメディ。キャラづけ命のような内容なので、役者さんも個性派ぞろい。プライド(桂憲一:花組芝居)、モラル(宮下今日子:サードステージ)、インテリジェンス(前田剛:BQMAP)、バランス(ムロツヨシ:紳士スラックス)の【左脳系】、エモーション(木村靖司:ラッパ屋)、デザイア(福田転球:転球劇場)、コンプレックス(高倉良文:ネコ脱出)、プチデビル(武内由紀子:吉本興業)ルーズ(櫻井智也:MCR)の【右脳系】、中盤で正体が明かされる【不明系】のトラウマ(杉浦理史:bird's-eye view)。それぞれ濃いけど、全員そろうと濃縮ソース状態。怪しいエモちゃんを演じた木村さんは、『バット男』(2004年10月22日)の上司役で光ってた人。大阪弁こてこてキャラの福田さん、長台詞ペラペラで本当に頭よさげな前田さん、キュートな武内さんも印象に残る。「劇団←女主人から最も離れて座る」公演『Kyo-iku?』(2004年7月22日)で「すごいキャラだ!」と驚いた杉浦さんは、水槽のような檻(?)の中で漫画読んだりバナナ食べたり。演技というより生態。別名ピエール。サイト『ピエール風呂』も不思議な世界。達者なムロさんはどんな役にも染まって、こういう人いるよなーと思わせる。MOTHER時代から観ている高倉さん、途中まで彼だとわからなかったほど、劣等感男になりきっていた。■脚本家が書いた脚本家の話なだけに、「時間ないのは本命が降りたから」なんて自虐的エピソードはリアル。「一人ぼっちでも書かなくちゃいけない」という言葉がしみる。鉄男の書きたいものが定まり、脳内キャラが団結したときに現れるミューズ、プロデューサーの南青山さゆり、鉄男の妻・美代子、ラストのどんでん返しに登場する女性脚本家は、同一キャスト(藤田記子:カムカムミニキーナ)。川上さんがそれを狙ったかどうかわからないが、「自分の信じているものが真実とは限らない。所詮、脳が信じ込んでいる幻だから」と示唆しているように感じた。■観劇の友は、女優の鈴木薫。アフターシアターは、ぐるなびで目星をつけたタイ東北料理の『カオタイイサーン 一ツ木店』。定番とはひと味違うメニュー充実で、店員さんも感じ良し。シアターV赤阪へ行ったときは、また寄ります。
2004年01月28日(水) 舞台『クレオパトラの鼻』(作・演出:上杉祥三)
2002年01月28日(月) 心意気