■大学の卒業式でクリスマスツリーに仮装したぐらい、一年のうちでクリスマスがいちばん好き。『ポーラー・エクスプレス』のメイキングをテレビで観たときから、これは絶対に観る、と決めていた。原作はクリス・ヴァン・オールズバーグの人気絵本『THE POLAR EXPRESS』。蒸気機関車に乗って、サンタが出発する北極点をめざすというわたし好みのファンタジー。去年、村上春樹の訳で『急行「北極号」』として出版されたときに、ラジオでやれたらいいなと書評を切り抜いていた。映像だと途方もないコストがかかると思っていたが、フルCGで映画化とは! 原作に惚れ込んだトム・ハンクスの力なのか。一緒にメイキングを観ていたダンナも「行こう」と乗り気に。映画と鉄道を愛するご近所仲間T氏の影響で、以前なら見向きもしなかった作品がアンテナに引っかかりだした様子。■ちょうど今日都合が合ったので、有楽町マリオンの丸の内ルーブルへ。あらすじ、ハイライトはもちろん、トム・ハンクスが5役の吹き替えに挑戦していることもメイキングで観てしまっていたものの、期待以上に楽しめた。鉄道、クリスマス、雪、ホット・ショコラ、わたしの好きなものがどんどん出てくるので、観ているだけでうれしい。機関車が走っている間にアクシデントが次々と起こりるので、目を離すすきもない。「サンタの存在を信じたいけど信じられない」という主人公の男の子の微妙な心境にはあまり寄り添えなかったけれど、「サンタは忙しくて僕の家には来られないんだ」という貧しい男の子と、「クリスマスは素晴らしい日よ」と目を輝かせる心優しい黒人の女の子の気持ちには入り込めた。この二人のデュエットはメロディーも歌詞もきれいで、本編はもちろんエンディングのタイトルロールで流れたときにも涙を誘われた。子どもたちが車内で「どこ行くんだろう」と元気に合唱する歌もよかったし、ディズニーを思わせるトーンの音楽は、どれも印象的だった。見ることは信じること、サンタクロースは信じる人だけに訪れる、というメッセージが繰り返し形を変えて提示されるが、劇場を出たわたしとダンナが「いい台詞があった」と口をそろえたのは、「大切なのは行き先ではなく、乗ると決めること」と車掌が主人公の少年との別れ際に言った一言。まさにT氏に捧げる台詞。機関車のスペックを一気にまくしたてる知ったかぶり(役名はknow it all)君、北極点のターンテーブルなどにも心が躍った。鉄道とクリスマスが好きな人はぜひ。
2001年12月18日(火) シンクロニシティ〜天使からの小さな贈り物