■FMシアター『夢の波間』で船問屋『佐野屋』の主・茂右衛門を演じた上杉祥三さんと長野里美さん出演の『嘘と真実』を観る。二人芝居は、お二人が演劇ユニット『トレランス』を立ち上げたときからの夢だったそう。物語の舞台は演劇ホールの楽屋。そこで服毒自殺を図ったとされる大女優の死に疑問を抱いた刑事が、助手に指名した女性刑事とともに事件を検証する。女性刑事の上げた報告書をもとに二人の刑事が容疑者や被害者をかわるがわる演じ、事件の解明という「真実」に演技という「嘘」で迫っていく。笑いあり、サスペンスあり、上杉さん・長野さんのコスプレと芸達者ぶりも堪能できて、素直に楽しめる作品。推理が成立したところで一件落着かと思ったら、さらなる展開があり、伏線が一気につながったラストはお見事。さすが上杉さんの本! 古きよきアメリカの探偵ドラマを思い出させるような音楽は、『夢の波間』でつながった大河内元規さん。打ち上げ以来ごぶさたしていた大河内さんとも劇場のシアタートップスで会えた。上杉さんとも大河内さんとも、またお仕事したいですねと話す。
2002年11月10日(日) 黒川芽以フォトブック