■西葛西にある東京フィルムセンタースクールオブアート専門学校の体験入学に参加。今年4月開校で、現在も入学を受付中。希望者にまず学校の雰囲気を味わってもらうツアーを実施していて、わたしは脚本家をめざす人たちのアドバイス役を頼まれていた。この日は脚本家コース希望者がいなかったため、監督コースの体験授業に立ち会う。福島から来たという男の子が書いてきた短編をその場で演じ、デジタル撮影するという実践的なもの。『キラー・ブラッド』などの作品を手がけた脚本・監督であり副校長のダグ・キャンベル氏自ら英語で指導。アメリカ留学のときに選択したSTAGE ART(演劇)の授業の雰囲気を思い出した。「殺意」がテーマの話だったので、わたしは脚本家の立場から「殺意を抱くに至る殺し文句があったほうがいい」とアドバイス。あとはカチンコ係。「Mark it」と言われたタイミングで「Scene1 Take2」などと言ってカチンと打つ。はじめての体験だったけど、日本の現場でも同じだったっけ。この学校は外国人スタッフが多く、英語が飛び交う。映画の話を英語でする機会はめったにないので、わたしにもいい勉強。発音が悪いので「大学で教育学(pedagogy)を学んだ」と言うと、足裏を指差され(pedalと聞き違え?)、「日本イラン(Iran)合作映画に関わった」と言うと、「アイルランド(Irekland)」と聞き返される始末。とほほ。■この授業が行われたスタジオのセットを組んだのが、美術の太田喜久男氏。最近作は『ドラッグストアガール』と聞いて、「見ました」と言っていたのだが、授業の後、太田氏とある女性の会話に、「河合純一」と何度も出てくるので、「もしかして水泳の?」と声をかけると、ビンゴ。太田氏は『夢追いかけて』の美術も手がけていて、女性は河合純一さんの母親役だった田中好子さんのマネージャーさんだとわかる。イタリアとワインとジャイアンツとキャンディーズが好きという楽しい方だった。田中さんはこの学校の名誉顧問とのこと。映画の世界はどんどんつながる。
2002年04月04日(木) 前田哲×田中要次×松田一沙×大森南朋パコダテ人トーク