■外国語を覚えるのが好きだ。最初に出会った外国人は隣家に引っ越してきたインド人一家だった。親の受け売りで丸暗記したカタコト英語が通じた瞬間、相手が笑顔になった。コトバは友達を作る道具なんだと5才にして知れたことに感謝している。■日本語を勉強しているアメリカ人青年が面白いことを言った。"My Japanese is good enough to get in trouble, but not good enough to get out of it(日本語ができるせいでトラブルに巻き込まれることはあるけど、トラブルを脱出できるほどは日本語ができない)."。同じような経験はわたしにもある。大学の卒業旅行で訪ねたドイツでチェコスロバキアの男性と片言のドイツ語同士で盛り上がっていたら、誘拐されそうになった。日本人は幼く見られると言うが、10才ぐらいに見えたのだろうか。バリ島観光に行ったときは、リンガフォンのインドネシア語を1か月前から聞いていたが、現地の子どもたちに不用意に「サヤ ナマ マサコ」と名乗ったがために、masakoの名入りのミサンガやら織り物やらを勝手に作られ、買い取る羽目になった。こちらは友達だと思っていても、相手にはネギを背負った鴨にしか見えなかったことに打ちのめされたが、それも言葉をかじったから知ることができた現実だった。■めげずにフランス語にも手を出し、カンヌに行ったときは楽しい思いをした。言葉がちょっと通じるだけで、現地の人しか知らないおいしいものや穴場に出会える。手を出しかけて引っ込めたのが韓国語と中国語。どこから手をつけていいかわからないうちに出発日が来てしまった。いつかリベンジしなくては。■旅行に行く予定はないが、イタリア語の本が目の前に2冊ある。仕事でイタリアがらみの商品を担当することになり、資料として買ってきた。イタリア語に挑戦するのは初めて。音がかわいくて、発音したくなる言葉がゴロゴロある。「小さい」は「ピッコロ(piccolo)」で「とってもおいしい」は「オッティモ(ottimo)』。「わかりません」は「ノン カピスコ(non capisco)」。カタカナ読みでOKなのもいい。それでは眠くなってきたので「ブオナ ノッテ(Buona notte)」。