度々旅
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土曜日、20年来の友人と会った。父のことがあったとき、どうしても連絡がとりたくて、けれど携帯メールは返ってくるし、電話も通じないしで、実家に電話したら、アメリカにいると言われた。実家から連絡がいったらしく、すぐに電話がきた。連絡をとったのは3年ぶりくらいかなぁ。そのときの彼女の電話は、本当にうれしかった。彼女は仕事を辞め、結婚してた。何も知らなかったが、それも私達らしい。葬式のとき、彼女の新しい名前が入ったお花は、私を強く支えてくれた。 そんな彼女と会った。なんつうかもう、彼女は彼女のままだった。中学受験の塾で小学校4年生のときに出会い、1年で彼女は違う塾にうつっていった。4年生のとき、特別クラスって感じで長時間拘束される夏期講習を私が受ける中、彼女は「夏休みなのにそんな長い時間塾にいたくない」とあっさり時間が短い下のクラスを選んでた。用意されたものや、周りの選択などではなく、自分の選択で常に歩んでいる彼女は本当にステキだった。塾は違いながらも、一緒の中学を目指し合格した。受験前に彼女は「生徒会長になる」と言ってた。それも彼女は実現した。クラスは違うし、部活も違う。何度か一緒のクラスになったかもしれない。けれど、同じグループみたいにはならなかった。 大学受験のときも、彼女は塾に殆ど行かなかったんじゃないかな。同じ大学を私達は目指した。発表の日、どちらが誘うともなく当然のように二人で一緒に見に行った。手をつなぎながら見たのを覚えてる。結局私は受験に失敗し、違う大学に入った。それは、私と彼女の関係からすると、私が裏切ったともいえるかもしれない。 彼女との関係においては、言葉もいらないし、共通の話題もいらない。同じ目標もいらない。ただ、互いへの要求に応えることで友情の態を成している。そして、互いへの要求とは、己の要求や目標を満たすことをお互いに欲するというところにある。だからこそ、私はここ何年か彼女に連絡をとらなかったのだと思う。私はここ何年か、私を生きている実感がなかったから。 ま、そんなことも一切話し合ったことなどないんだけれど。 彼女のお父さんが弁護士ということもあり、彼女も試験を受けその世界で働いていたが、あっさり辞めていたのには驚いた。どんなにステキな男性と知り合い、そして付いていったのだろうと会うまで考えたが、どうにもその光景が浮かばなかった。けれど会って、あああそうだそうだと思い出した。彼女の場合、アメリカについて行くステキな自分に付いて来いというのが正しい表現だ。 そんな彼女に「犬のしつけ方は参考になるよ」と旦那について言われた。だから私は「犬ってより、ハムスターに近いからハムスターのしつけ方を勉強するよ」と答えた。あたし達はいっつもこうだ。
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