猫頭の毒読書日記
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◎ 2002/03/18(Mon) 07:38
朝永振一郎「鏡の中の物理学」(講談社学術文庫) 「現在、世の中には、物理学にかぎらず科学というものを賛美する人は 少なからずいるわけですが、それらの人々にとって、科学とはひじょうに いいものであるというその理由は、多くの場合、科学はわれわれの生活 を便利にし、より豊かに、また楽にしてくれる、そういうことが理由になって いると思うのです。けれども、この観点に立つならば、科学がほんとうに われわれの生活を豊かにしているだろうかという、そういう考えかたも ありうるわけで、じっさい、科学がかえってわれわれの生活を悪くしている のではないか、そういう見かたもありうるわけです。(略)つまり、科学の 本質というのは、生活をよくするとか悪くするとか、そういう次元と別な次元 の価値あるいは、少なくとも意味をもっているのではなかろうか、そういう、 よくするとか悪くするとかいう観点とは別の方向にむいているような意味が あるのではないか、という、そういう問いの出しかたがあるわけですね。」
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