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2004年01月13日(火) ■疲れた顔と疲れない笑顔■ |
昨夜は、連休をエキサイトし過ぎたのか、寝るのが惜しくて夜中の四時近くまで床につかなかった。 そのためか、いつもに増して今朝の寝起きは最悪で、 昼間はぼうっとしてばかりだったし、帰りの電車ではひどく疲れてうなだれていた。
帰路の車内は、普段ならそこそこ座って帰れるくらいの時間帯だったが、人身事故があったらしく遅れていて各駅停車車両でも若干込み合っていた。それでも新宿についた頃にはようやく人も循環されて乗り換えの数秒間には空シートもいくつかできた。私は目の前の客が立ったのを見計らい、ようやくその重い体を休ませられると一息つける心つもりでいた。が、その瞬間私の斜め後ろからは老紳士が滑り込み、二つ空いた席のまん中を陣取った。次にはその後をついてくるように連れらしき老婆がちょこんと照れたように微笑みながら彼の横に腰掛けていた。
あまりにさらっと当たり前のように座っていたものだから、私はタイミングを外してバランスを崩しつつも笑顔で会釈し、また元のつり革の位 置まで下がって人の波に流されない体勢に戻った。本心は、 あー座れなかったーとげっそりしていたのだけれど、相手がお年寄りならば仕方ないと、諦めは早かったと思う。車窓に流れるビルライトを追い掛けてその場をやり過ごした。それから三つ四つ駅を過ぎ、今度は私の斜前の席が空いた時、老婆は私を見上げ、座ったらと声をかけた。私はぼうっとしたまま、いいですよというそぶりで動かず、前に立ていた女子高生がそこに座るに至った。 そこまで席に固執するほどがまんできない疲れではなかったし、数十分程度の距離を休めなかった運の悪さも決して苦痛ではないと私の中では自覚していたと思う。
なのにその時老婆は次の駅で降りるからと言って席を立ち、私を強引に導いた。結局そこで座るわけにもいかず、押し問答の末、老婆はもう一度わずかの時間腰を下ろした。いよいよ降車駅について、そこでようやく私は席を譲られ、終着駅までのわずかの憩いに癒す時間を持ったのだ。
たったそれだけの数分間のいつも帰宅電車の1ページだったのだけど、なんだか私はよほど疲れた顔をしていたのだろうなと、座りながら思っていた。おそらく席を横取りされて不機嫌な表情を見せてしまったのかもしれない。 なんだかとてもそのことが恥ずかしく思えて居たたまれない気持ちだった。
疲れた体は正直で当たり前なのだけど、疲れた顔は余計な心配を呼んでしまうのだと思う。 無理して笑顔でいる必要はないけれど、極力日々は明るく過していたほうがいい。そのための努力は、人と支えあう世界に生きるものの努力として、惜しんではいけないのだ。
私はいつも自分の思うように過し、すぐ気持ちが顔に現れる性格に何の抵抗もなくこれまでやってきたのだけど、それがいかに子供じみていることなんだって、最近そういう当たり前に気付かされる。私はいい年を過ぎても、世間一般 人としての常識感覚は未成年並なんだと思う。そんな劣等感を抱きつつ、出会えたきっかけに感謝が募った。
老夫婦の家路が、穏やかであることを祈りながら。
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