「忍足……」 切羽詰ったような声がこの部屋中に響いた。 決して狭いわけではない部室。 逃げられないわけじゃないのに逃げないで目の前の人間にされるがままになっているというのはどう見てもおかしい。 多分理由があるから逃げないのだろうが、それは忍足にしてみれば好都合であり、楽しいだけだ。 例え逃げ出そうとしても楽しいに違いないのだろうが。 舌先で唇を舐めるように刺激するだけで。 カタカタと処女のように震える。 怖いのか。 目の前の男が怖いのか。 他人に知られるのが怖いのか。 他人に自分の味を知られるのが怖い…?
それとも快楽全般が怖いのか…。 誰かに身を委ねる事がそんなに怖いのだろうか…。
このプライドの塊のような男が。
「お前、、、可愛いやっちゃなぁ。」
予想外の跡部の反応に思わず本音が出てしまった。 次の瞬間には殴られたが…。
「ふざけるな…っ!!」 怒り心頭の表情で跡部は忍足を殴った。 無論、手加減などない。 忍足の洩らした本音を跡部はからかわれたのだと受け取ったからだ。
「なんや....
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