月曜。空は 薄く青く 晴れている。
わたしが前回の日記に書いたその人に会ったのは 結婚する前の話であって
理由は、彼の両親のことが聞きたかったから。 湾岸戦争で親を亡くした人に、聞いてみたかった。 戦争について・・・
でも聞けなかったよ。 彼は毎日を楽しく過ごしてるようだったし あえて辛いことを思い出させるようなことは聞けなかった。 悲しい顔は見たくないよ。
だから、話をするよりコバルトブルーの彼の目を見ていた。 でもそれだけで、哀しかったけどね。そんな目だった。
戦争の話をして現実の残酷さを実感するより 彼の瞳の向こうに南国の海をみていたほうがずっといい・・・
北の国の人だけど、彼の目の、その色は 南の海の、綺麗なブルーグリーン。
薄くもなく、青くもない。 濃密なブルーグリーンだ。
だからといって、それが真実なわけじゃない。
彼は政府機関の科学者として日本に派遣されて来ていた。 頭は良かったみたいだけど素行が悪いというか、 考え方の違いというか・・・。
今思い返せば、彼は自暴自棄だったのかもしれない。 職場の人たちは手に負えなくなって、プロジェクト半ばで とうとう彼は母国に返されてしまったけどね・・・
湾岸に世界の注目が注がれるたびに 今頃どうしてるだろうかと彼を思い出す。
こんど戦争がおきたら、ご両親のように兵士で戦うんだろうか・・・・ それとも科学者に徹して生きているんだろうか
戦争は参加するものなのか、反対するものなのか もしくは傍観者でありつづけてよいのか。
身内を戦争で殺されたとしたら 人は怒りと憎しみを克服して、冷静に反対の立場に立てるだろうか?
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