2006年05月02日(火) |
たとえ世界を失っても |
河出文庫『20世紀SF(2(1950年代))初めの終わり』を買った。
私はSFファンという訳でもない。 学生の頃は読んだけど、しばらくご無沙汰だった。 というのも、世界観に入り込むまで時間がかかるから。 (ファンタジーもしかり) 一冊読み終わるほどじっくり読む時間はなかなかなくて、なんとなく遠ざかっていた。
しかしこの本は短編集なのでサクサク読める。 その上選りすぐりの逸品ばかり。 言わば具材と味付けに手抜きのない、厳選幕の内弁当(\950)。 出汁の効いた卵焼きもお煮〆も美味しくて、箸も止まらない。 久々に、SFを読んだときのワクワクを味わえて、良い買い物をした。
中でも良かったのは 『初めの終わり』(レイ・ブラッドベリ) 『たとえ世界を失っても』(シオドア・スタージョン) の2つ。 どちらも、SFというのは単なる設定に過ぎない。 SFを読まない人にもお勧めしたい。 前者は家族小説、後者は恋愛(純愛?)小説として面白い。
特に後者。 「同性愛を肯定的に書いた初めてのSF(本書より抜粋)」。 (主人公たちは決して美形ではないので、その辺は脳内フィルターをかけるなり、見ないことにするなり個人で処理して頂く必要がある) しかし、最後のモノローグを読んでから改めてタイトルを読むとじんわり味わい深い。 ちょっと引くような、いや時にはドン引きの設定の作品が多いスタージョン。 でも、単なる変態じゃない。
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