++ Wasabia ♧ japonica ++

平凡で退屈な日常の中にこそ、目を向けたい一瞬がある。
大事なことは、いつもその中にしかないのだから。

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◆ 2002年07月19日(金)
恋人と別れなかった理由

恋人とは遠距離恋愛だった。


平日、朝早く出て帰ってくるのは11時の恋人。
風呂に入ってネットをつなげて巡回。
来たメールの返事書きとネットへの書き込み。
さらに自分のサイトの更新をするのが日課の彼に、恋人への電話という項目の所要時間は5分から10分の「おやすみコール」。
もちろん、メールの返事を書きながらである。

電話越しに彼のメル友さんへの返事を書くカチャカチャカチャという、あの独特のキーボードの音が聞こえてた。




ネットが忙しければ、電話もよくサクられる。
彼女よりもネット。
出会い系でメル友募集もしていて、多い時には30人ほどのメル友さんがいる彼はメールの返事書きは割りと時間が掛かるわけだ。

たまにメル友からキャッチで割り込まれ、そのまま電話を切られることもしばしば。彼女への対応は後回しだった。

「おまえとはいつでも電話できるから」が口癖。

「泣いているメル友をほっておけない」とも。


そのせいで泣いている恋人はどうでもいいの?

そんなむなしい抗議も通用するはずもなく。




私がセフレと関係していた頃、
付き合っていた恋人とは実質どうなっていたかというと、その期間の2ヶ月弱、プラス、セフレと別れて落ち込んでいた1ヶ月。彼とは一度も会っていない。

短い電話連絡のみ。それだけ。

ネットで知り合ったという特性は少しもいかされず。彼とはメールもしなかったしチャットもただの一度もしたことがない。

彼女であるという、ただの関係性を表す呼び名だけで本質のところといえば、どうだったのだろうと思う。



別れてはいなかったわけだから「二股」には違いはないけども付き合っているという気持ちが希薄になってしまうほどの付き合いに、わざわざケリをつけるほどの情熱を持ち合わせていなかったわけで。

その時の私は、彼がそのまま離れていったとしてもどうでも良かったのだ。

止めてくれと言っているにも関わらず、隠そうともせずおおっぴらに他の女性の話をしたり、二人っきりで会ったりする、そんな不誠実な人に誠実に対応する義理があるとは私には思えなかったからだ。






恋人もそれなりに私を好いてはくれていたと思う。
ただ、彼は正当性を主張しつつ感情の部分で不実だった。

確かに彼はきっと浮気の類はしてなかっただろう。

だけど男女関係というのは気持ちでつながっているぶん、相手の異性関係には理屈では説明しがたい感情が沸き起こる。


男は理屈で物を考え理屈で正当性をアピールするが。

女が欲しいのは、理路整然とした潔癖さではなく、
暖かく包まれるような感情を欲している。


少なくとも私はそうだ。



嘘でも良いから「おまえが一番だ」と囁いてもらえれば
騙されていられる、そういう生き物なのだと思う。
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