HERE, NOT SOMEWHERE...Hiroyuki Morikawa

 

 

音の響き - 2006年04月06日(木)

3月31日、満開の桜を見るために公園に行って、
その後に、おばあちゃんの入院している病院に行く。
眩しいくらいに白く輝く満開の桜と、病院の重々しい空気。
こころが苦しくなります。

あの桜をおばあちゃんにも見せてあげたいなぁと、
そんな気持ちでお見舞いに行った、
その日の深夜4:00、突然に鳴り響く家の電話の音。
こんなにも暗く重くそして大きな電話のベルは聴いた事がない。
安らかな眠りについてしまったおばあちゃんの手は、
まだとても温かくて、その手をいつまでも握りしめていたかった。

いつの日か、おばあちゃんに僕のCDを聴いてもらった。
アコースティックギターの曲。
ニコニコしながら、「きれいな曲ね」って何度も言ってくれました。
お葬式が終わって、その夜は家族だけがおばあちゃんの所に残ったので、
こっそり持ってきたアコースティックギターを、
ひっそりとおばあちゃんに聴いてもらいました。
今までに聴いた事がないような深い響きが、ギターから聴こえてきました。

火葬場から聴こえて来る、震えるくらいに低い炎の音。
最後のお別れをして、鉄の扉が閉じる重くて鈍い音。

ここ数日の間に出会った、普段聴いた事のない音の響きたち。
それらは、耳で聴くという感覚ではなくて、
からだ全身で聴くという感覚でした。


ぼくが小さな頃から一緒に暮らしてきたおばあちゃんが、
いなくなることは、本当に本当に寂しいことですが、
いつもにこやかなおばあちゃんが残してくれた温かなこころを、
僕の中にいつまでも大切にしていきたいと思っています。








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