un capodoglio d'avorio
2003年05月13日(火) |
'03 Rd.2 SOUTH AFRICA/Welkom |
苦行みたいだな、まるで。 でも、見た、ビデオで。 なんかいま、ここでGP見るのやめるのは、 よく分かんないけど叱られそうな気がした。 誰に? 大チャンに、かな? 分かんない。 けど。
最終のリザルトはすでにメールで教えてもらって、 知ってたんだけど。 大チャンのチームメイト、ジベルナウが勝ったと聴いたとき、 でもどかは素直に祝福できなかった。 なんか、ありがちな展開だなーって、 鼻白む感が、拭えなくて。 でも、こう感じてしまうのって、 どか自身がもう、腐ってるってことだよね。 自分の内面が、もうくたびれきってるから、 外からの情報が素直に解析されない。 よしもとばななは正しいな。 「いつも負けは内側からこんでくる」ものだ。
と、思ったのはレースを全部見てからだった。 やっぱり半信半疑で見始めた。
スポットで参戦するノリック、 スタート失敗しても追い上げる「王子」真矢クンを見てると、 なんだか微笑んでしまう、ああ、まだがんばってるんだなって。 でも、知らず知らずのうちに、目が探している。 ゼッケン74番を追って中継映像の中に、 いつのまにか目が泳いでしまって、 それではたと気づいて、涙がにじむ。
スーパーバイクチャンピオン、今季から参戦したベイリスの 荒っぽいライディングが妙にいらだたしい。 で、またそんなハンパなブロックに手間取っているロッシにも、 どうしようもなくいらだってしまう、 「そんなとこでぐずぐずしとるライダーちゃうやんけ、お前」。
で、その間にジベルナウが逃げて、はあー。 と思っていたら、久々の衝撃が待っていたのはラスト5周。 ベイリスが自滅してロッシが、 ビアッジとジベルナウを追い始めてから。 鳥肌が立った。 ホントに、この人、本気で走ってると否が応でも認めざるを得ない。 めちゃくちゃ、速い、速いよ。 もう中継映像のロッシのコーナリングは、 全コーナーで鬼気迫るオーラがばしばし出ていた。 誰よりもブレーキングを遅らせて、誰よりも早くアクセルを開ける。 これをやってるだけなんだけど、 これをやることのなんと困難で究極なことか。 ロッシのその走りを見ていたら、 GPライダーへの敬意を忘れていた自分が恥ずかしくてならなかった。
ジベルナウはギリギリ逃げ切った。 そしてロッシはみるみる差をつめて最終ラップの ドッグファイトに持ち込んだけれど惜しくも二位。 三位はビアッジ。
・・・やはりヴァレンティーノ・ロッシは、究極だ。 どかの心を、一瞬、全て持っていってしまった。 同じところをグルグル回るだけのスポーツ、 けれどもそのベクトルは一直線、ビッと屹立する。 その加速度、その狂気、その真空。 一瞬だけ、欠落に惑うことを忘れさせてくれた。 でも、少なくともここには真実があって、 きっと、もうこれからGPを見るたびに、 どかはこの欠落を常に感じ続けることになるんだろうけれど、 それはもう仕方ないと思った。 ・・・観念、するよ、もう。
この寂しさと当分つきあい続けて、でもそれと同時に、 残ったライダーが見せてくれるこの真空の在りかを、 しっかり把握していければいいな。 GPライダーもそれぞれ同じように欠落を抱えているんだもん。 抱えながら、でも彼らはアクセルをフルスロットルすることでしか、 自分の身体を未来に運べない。 じゃあ、そのフルスロットルを、同じように欠落を抱えながら 見つめていくことしかないじゃないか。
ロッシの速さは尋常じゃない。 尋常じゃない、かなしみなんだ。 それはきっと意識すらされていない、 意識と身体のあいだにある真空の、狂気にそっと寄り添う、 さびしいさびしいかなしみなんだ。
そのロッシに先着したのは、やっぱりちゃんとエラいよ。 ジベルナウ、おめでとう。
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