un capodoglio d'avorio
2003年02月12日(水) |
カヴァーアルバム感想文 |
ちまたでは、CDの売り上げが伸びなやんでるらしい。そして、ちまたでは「カヴァー」がおおはやり。安易だなあと一方では思うものの、こうして離陸と着陸を繰り返すことも、文化に必要な深みを与える契機の一つなんだろうと思う、どか。最近、三枚気になってたのを、聴いたのでそれの感想文など。
♪「Queen'S Fellows」:☆☆☆★(☆☆☆☆☆が満点) 松任谷(荒井)由美デビュー30周年記念らしい、ユーミン楽曲のカヴァー。当然というか、やっぱりというか、荒井由美時代を含む懐かしめの選曲。どかはなにげに昔からユーミンが大好きで学部時代には「中核派(中島みゆき革命派)」のぶぅ「核マツ派(革命松任谷派・苦しい)」のどかに分かれて「深大寺闘争」を戦ったものだ。ワースト1とベスト3は次の通り。
■ワースト1:槇原敬之「春よ、来い」 確かにあなたはユーミンよりは歌唱力はあるのかも知れないでもここはカラオケボックスでもないし、リハビリなら利用する施設(メディア)が違うと思うの、どかは。 □ベスト3 :鬼塚ちひろ「守ってあげたい」 うーん、面白い、ユーミン中期の代表作のカヴァー。オリジナルの「淡色ノスタルジー」に対して鬼塚の「自意識ヒリヒリ」の換装。 □ベスト2 :小野リサ「あの日にかえりたい」 すごすぎる。さすが、ボサノヴァの女王。荒井由美時代の名曲のセンチメントを、さらに限界まで加速させる、メロウな香気高い歌声。 □ベスト1 :椎名林檎「翳りゆく部屋」 名録である、カヴァー史に残ると思われる、どか的に。どかの最もお気に入りだった荒井由美の傑作。彼女がカヴァーするとすれば、ユーミンの膨大なナンバーの中でも、これしかないと、確かに予想される。そして、その出来映えは予想をはるかに超えている。必聴。
♪「THE BLUE HEARTS 2002 TRIBUTE」:☆☆★ どこかに書いたけれども、昨今のブルハ再評価は、なんか気持ち悪い。安易に「癒し」を求める軍隊アリが、いっせいに獲物にとりついた絵を想像させる。あとには、何も残らない・・・。だからむしろ、最初はあんまし聴きたくない盤だったけど、ハスキンが参加してるのを知って、聴く。もちろんどかは、かなり点数が厳しくなってると思う。ヒロトやマーシーへの、ある種挑戦なのだから、当たり前である。
■ワースト1:KENZI「人にやさしく」 何をしたいのか、分からない。たんに、巻き舌を使ってるだけ。気持ち悪い。ブルーハーツ最初期の、絶世の名曲を愚弄した罪は、思い。 □ベスト3 :UxZxMxK「Train Train」 カヴァーの醍醐味かもしれない。あのメロコアの有名なナンバーを、完全にミクスチャーロックの文法(それもかなりヘビーな)で分解しきっている。一聴しただけじゃ元曲分かんないくらい。最初は、抵抗かなりあったけど、いまはなかなか楽しめてる。発見。 □ベスト2 :Cylinder Head Rock「青空」 何のグループか、知らない。でもこれが、先日の鴻上尚史「ピルグリム」のオープニングナンバーだった。元曲が良すぎるので、チャレンジングだなとは思ったけど、オリジナルの「バスに乗る小さな自分」ではなく、「バスが走る広大な草原」を歌って、正解。いいと思う。 □ベスト1 :Husking Bee「未来は僕らの手の中」 氣志團やPEALOUTも捨てがたかったけど、どうしようもなく一番はコレ。さすがとしか言えない、ハスキン・イソベ。椎名の「翳りゆく部屋」を上回る破壊力。原曲へのリスペクトを基底音に、最新のメロコアの成果をトッピング、軽薄なメロコアブームのボディブローを凌ぎきった体力を見せつける。やっぱ、イソベさん、日本語を歌わなくちゃ。こんなにいいんだもん。ハスキンオリジナルアルバムでも、英語、辞めましょうよ!
♪「一期一会」:☆☆☆★ スピッツのカヴァー・アルバム。女王ユーミンをはじめ、奥田民生や椎名林檎、小島麻由美に中村一義と、メンツが豪華で「Queen'S Fellows」に匹敵するかと。ユーミンと報復カヴァー合戦をしあってるのが面白い。でも、この合戦に関してはユーミンに軍配が上がってる。名録が多い。全体的に楽しめる。ハイロウズが、なんかやって欲しかったなー「愛のことば」とか。
■ワースト1:LOST IN TIME「田舎の生活」 そんなにひどかないかも知れんけど。いまいち、カラオケにしか聞こえない。でも、この原曲、どかは知らんかったけど、いい歌詞ね。 □ベスト3 :松任谷由実「楓」 ユーミンは歌唱力で勝負する人ではない。あの人は歌詞と声とアレンジの人だ。フィールドがカヴァーだとしても、声とアレンジの二つは残る。確かに声に好き嫌いはあるかも知れないけど、アレンジはさすが。どかは声も好きだし、安心して浸れる。さすが、クイーン。 □ベスト2 :中村一義「冷たい頬」 どかはスピッツではこの歌が一等好き。中村一義も、実は好き。でも、最近の彼はあんまし聴いてない、一番好きなのは2NDのタイトル曲「笑顔」。自らの「ヒリヒリ自意識」をオリジナルの「キュウン感傷」と換装。でも、それをとがらないように丁寧にアレンジしたところに中村一流のリスペクトを感じた。いいな。 □ベスト1 :POLYSICS「チェリー」 これもブルハカヴァーのUxZxMxKと同じように、ヘビーミクスチャーの文法で「分解しきった系」。楽しい。緩急の差、エフェクトとディストーションかけまくった音、終末的にほどけていく音。それが、原曲の切ない「ボク」の叫びにちゃんとマッチしてる(ここを外すと、ただのバカだ)。小島麻由美やつじあやの、椎名林檎のも捨てがたかったけど、その跳躍力という点で言えば、POLYSICSの「力業のベリーロール」で越えていったバーは確かに一番高かったと思うの。
あ、そういえば、一昨年に「矢沢永吉カヴァーアルバム」も聴いたなあ。あれも一緒に書けば良かったかな。まー、もちろんそのベスト1はハイロウズの「ルイジアンナ」なんだけどお。とにかく、ブルハのハスキンとユーミンの椎名林檎は必聴だと思うの。作品のパクリが文化になる瞬間だから。
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